渓埜胡保の戯言

語彙力のない主観と偏見に満ちた自己満足なブログなので期待しないでください…

【感想】まんがタイムきららMAX 2024年1月号

 

連載きらら感想記事を書きはじめて1年が経って、段々とこの冒頭書き出しのネタを考えるのも大変になってきてるから、特に大きな発表とかが無ければなるべく簡素に済ませようかなと思ったりしている。

まぁそれはそれとして誌面巻号では早くも年が明けた今月のきららMAXはいつも通りに身勝手に語っていきます。

 

過去の感想記事↓↓↓↓↓

w811b8y198stx8.hatenablog.com

 

 

 

今月号情報

2023年11月17日発売
価格:470円(税込)

◎巻頭カラー

双葉陽 『ばーがー・ふぉー・ゆー!』

◎表紙

はまじあき 『ぼっち・ざ・ろっく!』

つみきつき 『性別不明な殺し屋さんがカワイすぎる。』
こかむも 『ぬるめた』
はんざわかおり『アイドルビーバック!』
さいにゃん『てくてくっ!秘密リサーチ』
しぴー 『ラスボスは逃げ出した▽』

◎センターカラー

うるし『追放令嬢は技能実習生になりました。 ~アーシャさまは野菜畑から逃げ出したい~』

O仮名だモ『へるしーへありーすけありー』
なじみ 『コンビニ夜勤のあくまちゃん』
*sow* 『わからせろ!ナマイキツネ様』

◎センターカラー

Koi 『ご注文はうさぎですか?』

笠間裕之・宮月もそこ 『さうのあっ!』
有馬 『エイティエイトを2でわって』
ムクロメ 『SAN値直葬!闇バイト』

◎センターカラー

カコベン 『ギャルとネクラの吸血関係』

◎最終回

はも 『マグロちゃんは食べられたい!』

相馬一 『メイドさんはハジメテの友達』
やや様X『きゅーぱん』

◎センターカラー

行町咄 『ハコイリクリエイト』

スーパーまさら・よしだひでゆき 『私、異世界で奴隷にされちゃいました(泣)しかもご主人様は性格の悪いエルフの女王様!(でも超美人←ここ大事)無能すぎて罵られまくるけど同僚のオークが癒やし系だし里のエルフは可愛いし結構楽しんでる私です。』
市川ヒロ・土管『スポチャン!』

◎休載

バニライタチ『白魔導士はゾンビの夢を見るか?』
宇崎うそ『ななどなどなど』※暫くの間

特筆するような事は無いが、今月号前後で完結が4作、次号からの新連載が2作という状況なので、次々号以降で更なる新連載作が出ないのであれば一定のゲスト読切枠は今後も確保されそうである。

 

連載作品感想

ばーがー・ふぉー・ゆー!
《双葉陽》

リアル世界では今シーズンは早い時期からインフルエンザが各地で猛威を振るったが、劇中世界に於いてもそれは同様だったのか、こむぎが感染して要安静を告げられる事に。それでも頑なにバイトに出勤しようとするのを説得して姉に成り代わってバイトに行く事にした妹まいであったが、姉より妹が優秀という傾向が強いきららキャラの法則通りに即戦力としてはとても優秀なのではと感じる。とはいえバーガー作りは姉のようにはいかなかったからそこは姉としての面子は保てたのではと思う、逆に言うならそれしか姉としての面子が立たないって事になってしまうが…。
それにしてもまいが姉のバイト先の人間関係が希薄だと思ってたり、零がこむぎに一番使えないと思われてたり、その零はこむぎの事をポンコツ仲間だと思ってたり、揃いも揃ってコイツら余りにも失礼過ぎである。まぁ失礼な事を思ってた事に変わりは無いが、姉の頑張りを実感して評している辺りは本当にまいは良く出来た妹である。

ところでナニとは言わないけれども、こむぎ結構大きくないか?[*1]

第1巻は11/27発売!

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ぼっち・ざ・ろっく!
《はまじあき》

陰キャにとっては余りにも過酷な3泊4日の修学旅行を迎えた後藤ひとり。いつも通り京都でも全然ブレる事は無かったものの、まさか海外からの観光客にチヤホヤされる事になろうとは、本人としてはとても満足そうにしていたけれどもまたここから在らぬ噂が発生しそうである[*2]
喜多は後藤ひとりと佐々木が和服で盛り上がっているのを見て露骨に不満な表情をしたり[*3]、ワールドワイドになった後藤ひとりを見て変な方向に映えを狙ったりと[*4]、後藤ひとりが好き過ぎる故に散々振り回されたなという感じがする。あと銀閣寺を見て地味って言いかけるのはちょっと失礼だと思う[*5]
ところでギターサムライのネタが流行ったのがもう20年も前と聞いて、先月号の『てくてくっ!秘密リサーチ』での自己防衛ネタに続いてまたも時代の流れに軽くダメージを受けてる…。あと今月号の編集部Twitter [X] の告知投稿の内容が、全く間違っちゃいないけど本編を読んでないと何の事だかさっぱり分かんないのは一体何なんだ。

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性別不明な殺し屋さんがカワイすぎる。
《つみきつき》

探し物でユーリが留守中に帰ってきたつくしの反応は何処か過保護というか想いが重いようにも思うが、それだけこれまでのふたりの関係や日常というものがつくしにとってとても大きくなっていると感じる。そして結局探したものの見つからなかったこれまでつけていたピアスに代わって、買ってから全然使ってなかったつくしのピアスをつけるユーリもそれは同様でると感じるし、組織にいたときから使い続けていたものからつくしのピアスに変えたというのは「自分はもう組織のものでは無くつくしのものである」と言っているも同然ではないだろうか。…というのは流石に自分の妄想が過ぎるかもだけど。
そんなユーリを組織から寝取った、と表現するとかなり大胆な事をしたなと思わせるつくしであるが、この普通ではない日々をどうこの先ふたりで過ごしていく事になるだろうか。

第1巻は12/26発売!

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アイドルビーバック!
《はんざわかおり》

慈雨を引き戻してあんじゅの踊りも大分まともになって活動再開にまた前進したものの依然厳しい状況に変わりは無い。そんなふたりを見て2年半の活動で何か残せたと思えず、何か残せる保障もないこれからの活動に、こんなにもふたりを突き動かすものが見えない朝子だったが、結局は慈雨同様に朝子もあんじゅに人生を大きく狂わされたひとりであったようである。辞める理由が幾つあっても最後まで活動を走りきったり、今も昔も何だかんだあんじゅの事が気がかりになって面倒を見ていて、グループ再始動に向けて踊りの振りを考える辺り、ふたりに将来云々なんて言える立場では無かったのかなと思う。結局は3人共一度見て触れてしまった夢や楽しさを忘れられず、安定した生活よりもそれを追い求めてしまうくらいにとっくの前から血迷っていたようである。
そんな紆余曲折を経て揃った3人と椿の楽曲で、再び動き出しす夢は何処へ何処まで着き進む事になるだろうか。

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てくてくっ!秘密リサーチ
《さいにゃん》

動画の再生数がなかなか伸びないとひぐれから相談を受けたたから、次の撮影へ同行する事にしたたからがひぐれと共に向かったのは新富町周辺の首都高都心環状線。建設当時の事情や土地利用から見えてくる建設前の面影、そして未成のまま放置された構造物などを巡ったり、ふたりであれこれと話をする中で、ひぐれが目指す構想とたからの修正案への糸口は見えてきたと思う。日常の中の秘密を探っていくというのがこの漫画の軸でありひぐれの好きなものであるが、そんな普段の日常でのやりとりの中から再生数を伸ばす糸口を探るのもきっと本質は同じなのではと思うし、そういう意味ではすかいとマリンとの出逢いはとても有意義なものだったのだと感じる。
それにしてもたからってひぐれが不安に感じるくらいにゲーム脳過ぎて、こんな奴にハンドルを握らせていいのかとは自分も少し感じている。あと以前の回でもひぐれは象牙の塔Tシャツを着ていたが、一体何着それを持っているのかちょっと気になる…。

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ラスボスは逃げ出した▽
《しぴー》

山菜採取に行く事になった魔王と邪龍、そして邪龍が撒いたとんだデマに釣られた勇者の3人。そんな中とんだ間抜けを起こして毒状態にかかった勇者であったが、ここでふと沸いた「毒状態とはどんな状態なのか」という邪龍の疑問。勇者の毒治療をそっちのけ、というかそもそも薬を切らしていて毒治療ができない状況でこの疑問の考察を繰り広げる事になったが、時間経過でHPが削れはするが瀕死でも筋力と俊敏さ、そしてツッコミを入れる事には余り影響は受けないようである[*6]。それにしても1ターンが漫画内の1コマとイコールというのは余りにも短過ぎなうえに文字通りの初見殺しだと思う。という事はあの毒キノコは勇者を30ターンも持たずにHPを削りきる効果があるようである、30ターンとだけ聞くと結構余裕がありそうに感じるが上述の通り1ターン1コマだから全然余裕なんてものは無いに等しい。
しかし今回は毒がテーマの話であったが、そんなテーマ故か魔王も勇者も余りに毒舌の満ちたカオス回だった印象である。毒が効きながらもそれ以外は普通そうだったり、ツッコミたい意地で持ちこたえたりと、兄の代理とはいえそういうところはしっかりと勇者やっているなと感じさせる。

劇中でのメタ描写について(折り畳みます)
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ところで邪龍が伝書鳩として使っていた鳥[*7]が某富豪がサービスを買収した後に名称変更によってリストラという目に遭ったあの鳥まんまであったが[*8]、とりあえず向こうの世界で元気にやっているのであれば何よりである。ただそんな鳥の存在だったり1ターン1コマという発言が単なるメタなものなのか、それとも魔法少女が転生前にいた世界やは第四の壁を越えるような明かされていない事実があるのか、世界の理が平和を許してない節があるからこういうところでも気を抜いたらいけないのではと思ってしまう。まぁ単なる自分の身勝手な妄想なだけかもしれないけれども。
そういえば邪龍曰く「最近見かけていない」という堕天使だが、今更言うが魔法少女を転生させた女神はどこか堕天使に似てやいないだろうか。女神は堕天使と何か関わりがあるのか、それとも堕天使が起こしたマッチポンプなのか、果たして…。
因みにだが8月号の回で「最近堕天使が行方不明」と魔王が言っているように7月号の回を最後に堕天使は劇中に登場していない。その回のラストは魔法少女が女神に転生された回であるから、やはり何かしらの関わりがある可能性はありそうである。

第1巻は11/27発売!

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コンビニ夜勤のあくまちゃん
《なじみ》

普段の営業スマイルが一瞬で露骨に嫌そうな表情になるくらい普段親しい人がバイト先に来店してくるのは気まずく感じる光野であるが、今回はそんな光野と大学のゼミ仲であるめぐみの話である。
正直言って馬が合いそうに感じないくらいにバイト中の光野はめぐみとはキャラが違うが、バイト先ではそれ以外で関わる事が無いから一線引いているだけであって[*9]、本来の性格は意外とめぐみとは馬が合うようであるし、光野が雑に扱うくらいにはめぐみとの仲は良さそうである。
それと以前に何度も人間を辞めてそうと言ってきた光野の性格であるが、めぐみ曰くどうやらその根幹には父の事が関わっているようで[*10]、父をそんな目に遭わせた輩への反骨心とある種の正義感がこういう性格を形成したようである。誰かの為になりたい、同じ事を起こさせないという正義感は勿論あるのだろうが、毒を以って毒を制すという心情もあるのかもしれない。今回はそんな光野の人間性が垣間見えた回であった。

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わからせろ!ナマイキツネ様
《*sow*》

七五三シーズンになって最早当然の如く壱与も対応に駆り出される事となったが、そんな中に来たのは完全に泥酔しきって情緒不安定になった阿古町。全然静止が効かず他所の神社でこれでもかという醜態と暴走の数々、遂には溺愛している壱与からのガチ説教。クソ生意気でクソしょうもない事ばかりする壱与をわからせるというこの漫画に於いて、その壱与にド正論でガチ説教をされるなどとんだ異常事態である。その後は無事にシーズンいっぱいその報いを受ける事となった阿古町であるが、本当にこれが全国3万社を越える稲荷神社総本山No.2の姿であっていい訳が無い。てかどうにかてくれよ主祭神の宇迦之御魂は!
まぁ今回の泥酔事件もそうだけども、無許可で分霊所を設置するのは法とか規律に触れやしないものなのだろうか。あと花ヶ前家は母娘揃って銭ゲバって感じがする。

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ご注文はうさぎですか?
《Koi》

扉絵早々から狩手結良スタートというのは普通に怖いし、彼女と鉢合わせた時のシャロ、フユ、マヤの反応は普通に失礼ではあるけれどもいろいろ前科を犯してきてるから、こんな反応をされて当然というところだろうか。そして今回はエルとナツメにも手をかけてきたものの、そんなふたりによって遂に因果応報が回ってくる事となった。とはいえこんな事で懲りるとも思えないけれども…。
青山さんに「歪んだ愛情」と言われるくらいに[*11]この作品におけるコイツの異物感というのは強いと思うけれども、何故にこうも回りくどく相手と接しようとしてくるのか、それさえ無ければあんな鉢合わせて露骨な反応をされる事も無いのではと思うのだが。大体はリゼへのや想いとかがこうさせているのだろうけれども、別に誰かを嵌める意図は無いのに良くない方向に周りから思われているのは相当に損をしているとは思う。
一応は狩手結良への理解は深まったものの、やっぱり共感はできそうにないと思わせる回であった。

CompleteBlend4巻は発売中!

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さうのあっ!
《笠間裕之・宮月もそこ》

4人揃いも揃って「自分だけはこの集まりの中では一番まとも」だと思っていそうであるが、実際のところは自分だけはまともだと勝手に思っている変人でしか無いのかなと感じる。
こかげはいつも通り各方面に、今回は特に芹香に対して失礼やっているなってところだが、スマホ画面以外なんか視界にすら入っていなかったこかげにとってリューディアとの出逢いは苦行に付き合わされる羽目になった切っ掛けでもあり、視界を広げいろんな関係を繋いできた人であるのかなと思う。まぁそれと同じくらいに斧を振り回していたインパクトは強いのだろうけれども。槇は「孤独なこかげに手を差し伸べた」と言っていたが[*12]、そこはちょっと解釈違いじゃないのかなって気がしなくもない。
一体いつからどこから人と人は親しい関係になるのか、というのはこかげをはじめ陰キャぼっちにとってとても大きな謎であるだろうが、何だかんだで毎話サウナ浴をしてサウナ浴をさせられているのだから、親しいと思っていなければこんな事はしていないと思うし、サウナ浴中に相手のホクロの場所を探ろうだなんて思いやしないのでは無いだろうか。
陰キャぼっちを拗らせて面倒なこかげに対して裏表が無く真正面から親しい関係だと言い切れるリューディアが眩しく見えたこかげであったが、それは真面目で面白味が無いと自己評価する芹香にとっても同様だったようである。

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エイティエイトを2でわって
《有馬》

過剰量の練習で腱鞘炎気味になり力を入れられない状況で張り切って力を入れた結果自分のソロ曲を残して完全に腕をやっちまった美弦、ここまでの事態となった以上まともに弾くなんて事はとても望めず代理で急遽奏が弾く事になったが、尚も引き摺る過去から突き進ませたのは前に「自分の為に弾いてくれ」と言った美弦の言葉。結局あのときは誰かの為に弾くなんて事はよく分からなかった奏だったが、何だかんだで昔からずっと美弦とは関わってきて、知らぬうちにその存在は奏の中でも大きくなっていたのかなと感じるし、だからこそようやく先に進めたのかなと思う。…なんて事を奏が直接美弦に言うのは未だ未だ先の事になりそうであるが。
結果的に美弦も奏もそれぞれ先へと進んだり変化がみえた音楽祭に至るまでの過程であったが、どっちもそういう風に思ったのはこのふたりだからこそというところだろうか。連弾の事もソロの事もあるけれども、それぞれどちらもこれからのピアノとの向き合い方がや今後目指していく方向が定まったように思う。
今回の件については美弦自身もやっちまったと感じてはいたけれども、そんな状況でもちょいちょいアホ面をみせてくるのは美弦なりに場が重くなり過ぎないようにしようという配慮だったりしたりするのだろうか。あと言質(物理)をとったりしまったりするところは[*13]美弦の自由さがよく出ているように思う。

第1巻は来年1/26発売!

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ギャルとネクラの吸血関係
《カコベン》

いよねに迫ってきたのは憧れの読者モデルであり島の掟に背いて捜索中だったらら、一応はただ単に血が欲しい以上の目的は無かったようであるが、とはいえ実質寝取ろうとも思えるこの行動はいよねもまくるも到底許容できるものではかなった。
とはいえ一応いよねなりにまくるの事は大事に想っているのは確かであろうが、憧れている人の頼みだからなのか、それとも同じようにクソ田舎から上京してきたことに同情したのか、掟に背く事を報告する交換条件としていよねの血を貰うというららの提案にあっさり乗るのは、いくらなんでもとんだ失態では無いだろうかと思う。8月号の回で「親しい関係になっているなら眷属関係を続ける必要は無いのでは」と思っていたいよねであるが、それとは対照的にまくるにとってはどれだけいよねとの関係が深くなったとしても、いよねとの眷属関係というものはとても深く重い意味を感じているのでは無いだろうかと思う。もしかしたら度を越して眷属関係というものに縛られているのではという気がしなくもないけれども。
そんなこんなで散々ららに振り回される格好になったいよねとまくるであるが、どこか互いの想いやその重さに隔たりがあるように見えたこの関係はどうなっていく事か。てか結局ららを捕縛し損ねたのはいろいろマズいのではないだろうか、アクアはアクアでニアミスしといて気付きすらしないという大ポカをやらかしてるし。

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【最終回】マグロちゃんは食べられたい!
《はも》

さしみとクロに、そしてなぎさとカジキが、それぞれ一緒にいるいる道を選ぶ中、出逢った時からずっと互いの事を知れば知る程に平行線が交わっていくどころか遠ざかっていくみさきとまぐろ。どこまでのその関係がブレる事が無いまま遂に迎えたファイナルマグロ、もとい最終回でふたりはどんな道を選んだのか…。

※とんでもないクソ長文駄文(約4700字)になってしまったのでご注意下さい、一応作品に対する思いの丈はぶちまけまくったつもりです。
▼▼CLICK▼▼

前回収まるところに収まったなぎさとカジキの一件からまた暫く経ってふたりではじめての冬を迎えたみさきとまぐろ。カジキ捜索に合流したのはあくまで群れとしての行動を優先しただけであって、形だけでもヒトの真似をすれば何か気持ちが分かるのではと思ったもののそれも分からないままで、本当今月号で最終回というのにどこまでもまぐろはいつも通りの平常運転である。
そんな感じにどこまでもブレなかったまぐろであるが、マグロとしてこれまで生きてきた事や掟を信じてきた事も全部ひっくるめてそれがまぐろという存在を形成していて、やはりどうやっても運命の人に食べられたいというまぐろの気持ちが変わる事は無い。ただずっと群れ以上の関係をつくらなかったまぐとにとってみさきに釣り上げられてこれまで過ごしてきた日々はとても楽しく、単なる運命の人という関係からさらに進んだ、増々食べられたいと思えるくらいにみさきの事は特別な人へと変化していた。多分ではあるが運命の人というのは人間関係で例えるならちょっと仲が良かったりくらいな関係で、まぐろがみさきに抱いた増々食べられたいくらいな特別な人という想いは恋愛感情に近いのではないだろうか、と思う。
まぐろがみさきを特別な人と想っているように、間違いなくみさきもまぐろの事は特別だと想っているのが、ヒトとマグロの異なる生物の間を大きく隔てている価値観や倫理観の壁や溝は、みさきがヒトとして生きようとしてまぐろがマグロとして生きようとしていく限りはどうやっても越えられたり埋められるものでは無い。7月号の花火回で「同じように生きられなくても同じ事を感じることは出来る」とみさきがモノローグで語っていたように、みさきもまぐろも互いの事を特別であると想い感じ合っているのは確かであろう。だが違う生物故に同じようには生きられない、相手の事を特別だと感じていてもその向ける想いの根幹の部分は全く異なる。1巻5話でカジキが「一緒になるのと一緒にいるのは全然別の事」と言っていたように、ふたりが同じ特別で一緒という想いを抱いていても食べられる事と寄り添い合う事は全く違うものである。みさきもまぐろも同じ想いと願いを抱いているのにその形は全く異なる、それは雪の上にまぐろが描いた全然似てやしないみさきの似顔絵とヒトの姿でみさきが描いたまぐとの似顔絵と同じように、最終回でもこの違いというのは全く変わる事は無くて、そんな現実にみさきの想いはどこか苦しそうに感じた。

そんな冬の日のやりとりからどれだけの時が経ったのか、一緒にいる事を選んだなぎさとカジキ、さしみとクロはいまもヒトとしてその関係を続けていて、カジキとクロはすっかりヒトに染まっていると言ってもいい感じになっているようである。そしてみさきとまぐろは一体何処へと向かうのか、新生活の為にしばしふたり一緒の鉄道旅。あの冬の日からどちらも特別という想いは変わって無くこうやってふたり一緒なようである。「まぐろと一緒ならきっと大丈夫」と想い呟くみさき。

 

みさき以外誰もいない
電車の中で………

 

 

 

劇中に於いてハッキリとそういう描写がされた訳でも明言がされた訳でも無いから、最後のあの描写というのはもしかしたら他の用事で同行できないか海へと戻ったまぐろへの想いを拗らせたみさきが発症した幻覚幻聴という可能性ももしかしたらあるかもしれない。ただこれまでなされてきた展開や最終回での描写を見る限り、みさきとまぐろは一緒にいる事よりも一緒になる事を選んだまぐろは運命の人に食べられる本懐を遂げてみさきはまぐろを食べた、と解釈するのが一番妥当であろう。

ずっと異種族ものの話を繰り広げたみさきとまぐろが最終回で一緒にいる道を選ぶのも、結論を有耶無耶にして懲りずにまぐろがみさきに食べられようと努力し続けるのも、そしてこの一緒になる終わり方も、自分はどれも『マグロちゃんは食べられたい!』らしい結末なのではと思っているし、前者ふたつは所謂きらららしい終わり方なのではと思う。だがそういうベタな終わり方を良しとせずに徹頭徹尾異種族ものの漫画として完走しきったのではないだろうかと感じるところである。

養殖という生け簀の世界で生きてきて野生の世界は知らずヒトに世話をされるのが当然と思っているクロ、幼魚故に未だ確固たるアイデンティティや軸が形成されてなさそうなカジキ、このふたりは魚からヒトへとなれるだけの隙間はあったように思う。一方まぐろは少なくともカジキよりは生きていてアイデンティティも軸も弱肉強食な野生の世界も知っている、そんな状況でまぐろがヒトとして生きて行こうと思えるだけの隙なんてものは最初から無かったと思うし、どこまでもまぐろはマグロとして何も変わらず生きてきたのだと思う。
であれば変わったのはみさきである。あれ程頑ななまでにまぐろを食べる事を良しとしなかったみさきが最終的に食べたという事は、そこに至るまでの経緯がどうであれみさきがヒトとしての生き方からマグロとしての生き方へと踏み入れたのではないだろうか。なぎさとさしみが進学してヒトとして生きて行く中みさきの進路については明言されていないし、電車を回遊魚に見立てて野生的な当てのない旅に出たという捉え方もできるのではと思う。まぁみさき曰く「遊びに行く訳じゃない」らしいから一応はどこかしら進路は決まっているのだろし、ふたりでっつどー[*14]する訳でも無いとは思うけれども…。

そんな訳で一緒になる事を選んだふたりであったが、ではあの雪の人やりとりからラストの場面に至るまでの間にふたりにどんな事が起きたのか。先述したように同じ想いや願いを抱えながらその形は全く違う現実にみさきの想いは苦しそうに感じたが、そんな風に感じていたのに一体どんな経緯を経てみさきはまぐろを食べるとう道を選んだのか。互いの事を更に知っていく度にみさきの方が徐々にマグロの生き方へと染まっていったのか、それともどうしても避けられる事が起きて食べるしかなかったのか。
冬の日のやりとりで「一緒に生きるのは楽しいが余計別れが辛くなる」とまぐろは言っていたが、まぐろと一緒にいる中でみさきもそういう風に思ってしまったのではないだろうか。この世の神羅万象は始まりがあれば遅かれ早かれいつか必ず終わりを迎える、生きとし生けるものは必ずいつか死を迎える、「絶対の別れが無いなら一緒にいたいと思っていたかも」というまぐろの願いというのはどう足掻こうが叶う事は無い、生まれればいつか死に出会いがあれば別れがある、それがこの世の絶対の理である。そんな現実に耐えられなくなったみさきが一緒にいる事よりも一緒になる事を選んだのかもしれない。
そうやってふたりでしっかりと熟考同意のうえで選んだ道ならまだしも、どうしても避けられる事が起きて食べるしかなくなったのならば、みさきがまぐろを食べた時の感情とはどんなものだったのだろうか。これまでの想いと思い出に浸り噛み締めながら食べたのか、それとも幾度も拒絶反応を繰り返しながらも食べたのか。果たしてどんな事を想いながら食べて食べられていったのだろうか。
そしてみさきとまぐろが一緒になったという事を周りは知っているのだろうか。8月号のバイト回でまぐろは「魚に戻ったら料理して欲しい」となぎさに頼んでいたが、果たしてその頼み通りになぎさは魚に戻ったまぐろを料理したのだろうか、そもそもふたりのこの関係をなぎさ・さしみ・カジキ・クロは知っているのだろうか。「今生の別れじゃない」と特に挨拶もしないで何処かへ旅立ったみさきであるが、つまりは誰にも知られず悟られる事も無くふたりは一緒になって周りはこの事実は知らないという可能性はありそうである。少なくともなぎさとカジキはまぐろが食べられる事には否定的であったし、一緒になるなんて言ったら是が非でもそんな事はさせないと行動していたかもしれないし。価値観とかがマグロ化して「一緒になれば今生の別れも何もあったもんじゃない」とかみさきが思っているから特に挨拶はしなかった可能性とかあるかもしれない。
あと最後にふたり電車で何処かへ向かうという終わり方は駆け落ちエンドなようにも見えるし、どこかNice boat.と似たようなものに自分は感じる。

『マグロちゃんは食べられたい!』というみさきとまぐろの、ヒトとマグロの決して相容れない物語はこれで完結となるが、まだまだ話が続いていればよりヒトには理解できないまぐろのヤバさをもっと見られたかもしれないし、まぐろ・カジキ・クロとは異なるアイデンティティや軸を持つ第四のマグロが現れていたかもしれないし、何よりみさきとまぐとが一緒になるまでの過程が描かれていたかもしれない。ハッキリ言ってしまえばもっと続いて欲しかったしもっと読んでいたかったというのが本音であるが、この最終回ラスト3頁の展開の衝撃は短期作品だからこそ可能にしたのではと感じるし、更に展開が続いていても結局は一緒になるという選択に変わりは無かったと思う。食べられて終わるという可能性は最初から示され続けていたもので予想できないものではあったが、そんな予想を打ち抜くくらいの衝撃であった。
そんなこの最終盤の展開というものは、自分は単行本でしか読んだ事は無いもののどこか『のけもの少女同盟』と似ている部分があると感じている。

※以下『のけもの少女同盟』の内容について触れているので折り畳みます
▼▼CLICK▼▼

最終回直前になって本編がはじまった時点で既に治療ができず余命幾許もないまでに病状が進み余、病状が回復したという霞のキャラ設定が本当に設定だったという事実。それでも我儘を通して残り僅かだった人生で過ごして叶えた青春は楽しい事で溢れ、そんな人生を走りきった後もこれまで出会った人の中で生き続けている。みさきとまぐとの一緒になるとは違うものの、一緒になったみさきの中でまぐろが生き続けているように霞の想いも本質は同様なのかなと感じる。また生と死や出逢いと別れという絶対的な理を描いたという点でもこの2作は2巻完結で最終盤に読者に衝撃を与えた以上の共通項があるように思う。

ゲスト第1話のときは「食べられたいって性的な意味でか?」と思った事もあったが[*15]、そんな出逢いから一緒になるまでの最終回まで異種族ものとしてずっと走り続けたと思う。きらら版ミノタウロスの皿と評される事もよく見かけたが、向こうが牛種族がヒト種族を食べるという事実に許容できなかったのに対してそんな価値観や倫理観の壁をふたりは越えたのかなと感じる。本当これまで驚いたりドン引きしたりする展開も多かったが、ふたりが真に選んだ道であるならば自分からはもうこれ以上言う事は無い。同じ想いや願いでありながらその形が異なる中でどうそれぞれにとっての一緒をつくっていくのか、その形はそれぞれで異なっていて、みさきとまぐろの一緒の形も他とはちょっと違っていただけかもしれない。

物凄くクソ長文駄文となってしまったが、『マグロちゃんは食べられたい!』を最後まで追い続けられて本当に良かった…。

完結の第2巻は12/26発売!

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ハコイリクリエイト
《行町咄》

以前勤めていた会社の人と偶然会いそこで抱えている案件を代理で受ける事になった凛々。「勝手にあっちで苦しんでればいい」という所長の意見は[*16]本当にそうだとは思うが、元々案件を担当していた先輩に凛々はいろいろ借りがあると感じていて、それを返す為にも今回ばかりは逃げずに向き合おうと思ったところだろうか。前に真論が持ってきた案件はハイルにとっての試練であったが、今回の案件は凛々にとっては先に進むべく乗り越えなければいけない壁となりそうである。

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ゲスト作品感想

追放令嬢は技能実習生になりました。 ~アーシャさまは野菜畑から逃げ出したい~
《うるし》

こんなにまで野菜に対して拒絶反応を示しているのはともかくとして、指示の不徹底によって侍女が婚約相手に毒殺未遂を起こした責任を取らされ国はおろか世界までも追われた”元”公爵令嬢のアーシャは流れ着いた日本で実家が農家のそだちに拾われ、そこで海外からの技能実習生という体で全く好きでは無い野菜を育てる農家仕事をさせられる事になる。
国と世界を追われた経緯は流石に酷くは無いかなと思いもするし、明確な主語を用いずに侍女に指示を出した責任というのはとても重いようにも感じる。ただでさえ野菜が嫌なうえにこれまでの華やかな生活とはかけ離れた農家生活、更には技能実習生というブラック労働、そだちへの反骨心をバネにアーシャはこれからのこの生活に耐えられるだろうか。

 

へるしーへありーすけありー
《O仮名だモ》

10月号以来3話目の掲載。健康状態も生活習慣も部屋の環境もどれもどこまでもクソ最悪過ぎる七草に只々ドン引きするしかなく、早々から健康状態の改善に向けての計画につまずくヨモギであるが、是が非でも七草を健康体にしない事には自身の血の供給にも支障が出るからヨモギにとっては相当な死活問題である。そんな危機感に反して七草がそこまでのものを抱いていないのは本当に末期としか言わざるを得ないし、妖よりも妖をしている七草を相手にしなければいけないヨモギは幾ら骨が折れても足りなさそうである。

次号から連載開始!
早々から七草健康化計画がつまずいて先が思いやられるヨモギであるが、果たしてどんな同居生活となっていく事になるのか、そしてこの先ヨモギがどんな目に遭っていく事になるのか、長く険しい闘いは未だはじまったばかりである。

 

きゅーぱん
《やや様X》

飲食店経営を軌道に乗せて人間社会で良好な関係をつくりたいというルエの願いに反してバイト面接に来たくるみに早々身バレをして、互いに血を吸いたい欲と吸われたい欲がぶつかり合う中それぞれ違う形で普通の生活や良好な関係をつくりたいという想いや願いはこれからどんな形をつくっていく事になるだろうか。少なくとも普通に過ごしたいルエの願いは早々に叶いそうには無くなったが、人間社会の中ではでは普通ではない部類のくるみとの出逢いは、ふたりにとってどんな普通を生み出していくのかに期待したいところである。

 

スポチャン!
《市川ヒロ・土管》

競技ルールはそうであるし、同様に使う武器ごとに種目が分かれているという事も知らなかったこの競技であるが、ももにとってはようやく回避型の身体能力を活かせる適正武器が見つかったというところだろうか。才能があると煽った当時の指導者は適正武器を見抜く目まではどうやら無かったようである。結局流されるままに入部する事になったももであるが、何だかんだで競技も見るのもするのもどっちもスポーツチャンバラが好きという気持ちは抑えられなかったのであった。
アメリアは何だかんだで楽しそうにしていて今後の成長に期待したいところだが、相変わらず脱ごうとしたりジャンケンに勝てず往生際の悪さや大人げなさをみせるレイは本当変人だなと感じる。

次号から連載開始!
再び動き出したもものスポーツチャンバラへの道であるが、果たしてこの先どこまで頭角を現していけるのか、アメリアと共に打倒変人部長やひとまずはこの3人でどのように競技に向き合っていくのか。それぞれの今後の成長に期待したい。

 

次号予告

次号のきららMAXの表紙&巻頭カラーは、大人気連載のつみきつき『性別不明な殺し屋さんがカワイすぎる。』!センターカラーは新連載の O仮名だモ『へるしーへありーすけありー』と市川ヒロ&土管『スポチャン!』、スペシャルゲストのよるのまど『あかね空怪異譚』、そして大人気連載のKoi『ご注文はうさぎですか?』です!きららMAX2月号は12月19日発売!

引用:まんがタイムきららWeb

次号は来月に第1巻が発売される『性別不明な殺し屋さんがカワイすぎる。』が表紙に初登場、新連載は『へるしーへありーすけありー』と『スポチャン!』の2作、『私、異世界で奴隷にされちゃいました(以下略)』[*17]は最終回を迎える。

 

新刊情報

11/27発売

 

11/26発売

 

終わりに

今月号は記事全体の文字数の凡そ3割も使って最終回を迎えた『マグロちゃんは食べられたい!』の感想は余りにも駄弁を繰り広げてしまったが、この最終回ラストの展開もそうであるし、そこに至るまでの展開もこんなに書き殴りたくなるくらいに作品への想い入れは強かったのかなって感じる。まぁいくらなんでも文字数が多過ぎるからなるべくPC環境での閲覧でスクロールが必要ない程度に文字数は押さえていきたいとは思っている、もう少し文章構成力を高めていきたいところである。

 

て事で今回はここまで、次も期待しないでください。

 


※脚注

*1:6頁

*2:佐藤愛子ぽいずん♡やみや喜多母が伝聞した文化祭ライブに端を発する噂みたいな感じで

*3:18頁

*4:20頁

*5:17頁

*6:68頁

*7:66・70頁

*8:鳴き声までもまんまだったし

*9:95頁

*10:94頁

*11:110頁

*12:116頁

*13:130頁

*14:『初恋*れ~るとりっぷ』(作:永山ゆうのん)の劇中でよく出てくる台詞

*15:ゲスト時代のタイトル表記が『!』でなく『💓』だったのもあるが

*16:176頁

*17:誌面目次頁での表記