渓埜胡保の戯言

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『まちカドまぞく』89丁目を考察する

 

先日発売のまんがタイムきららキャラット2023年4月号に掲載された『まちカドまぞく』89丁目について自分なりに考察していきます。他のキャラットの掲載作品と同様に感想記事の中で書いていこうと思ったものの、ちょっと文章量がどうなるか全然見通しがつかないので別に記事を建てて書いていく事にしました。。正直上手く纏める力は無いので、思いつくままに彼是と書き散らしていきます。

 

 

 

ざっくり要点

まず今回明らかになった、若しくはそうであると推測される事をざっくり纏めると

・那由多誰何が以前存在した杏里の兄弟を食べた
・佐田家の先祖に牛鬼のまぞくがいる

大体こんなところであろう。そして兄弟の件と絡めて、さらんや火災も誰何が起こした可能性は有り得そうである。

 

佐田家の違和感

まず今回重要な事は小倉が「よく観察して」とシャミ子とごせんぞに忠告した佐田家の違和感。という事で114頁~116頁での佐田家の描写と会話をみていく。

 

家族構成

玄関先で「兄弟が多い」と言っていた杏里だが家にいたのは弟の杏光ひとり、その後シャミ子に「他の兄弟はまだ帰ってこないのか」と聞かれて杏里は「きょうだい二人」、杏里自身と杏光だけだと返す。10コマも経たずして杏里の言っている事が矛盾しているが、家の中や家族といるときは記憶を封じられいて、外に出るとそれが弱まるからこのような矛盾が起きたのだろうか。

 

食事風景

佐田家でこの日食卓を囲んだのは杏里本人にその両親と杏光、そしてシャミ子小倉ごせんぞの7人。なのに何故か食事が二人分多く用意されている。普段の来客がない佐田家の食卓がどのようなものかは分からないが、今回シャミ子達が来たから来客用にテーブルと椅子をを増やした、そうなると普段はテーブルひとつで卓を囲む、杏光が生まれる2年前の佐田家は3人家族、テーブルひとつで最大6人は卓を囲める。そう考えれば夢の中に出てきた兄弟3人とこの食事風景の矛盾は起きない、と思うが正直分からん。先述のように普段の佐田家の食卓が分からない事には何とも言えないが、どっちにしても記憶を封じられていても無意識で元いた人数分の食事をつくってしまうのかもしれない。

 

杏里の自室

上記の食事風景と共通しているが、二段ベッドがひとつと下段が勉強スペースになっているベッドがひとつ。まだ2歳の杏光は親と寝ていると考えるのが自然そうだから杏里ひとりの部屋にしてはベッドの数が多い。1部屋にベッドが全部で3人分あるという事は元々は食べられた兄弟用の部屋だったのだろうか。
そして部屋に杏光がごせんぞにぶつけていたちょっと年季が入っていそうなサッカーボール。杏里の高校での所属はテニス部、どんなスポーツ遍歴を杏里が経ているかは分からないが、少なくともいまテニスをしている事からするとちょっと想像がつかない。元々サッカーに入れ込んでいたなら話は別だが。それに部屋にあったランドセルは杏里が使っていたものなのか、それとも食べられた兄弟のものなのか。杏光が学校に通えるのは未だ先、モノクロだから色は判別できないが、一体誰が使っていたランドセルなのだろうか。

 

とりあえず佐田家の違和感はこんなところだろうか、もっと細かく見ていけば未だいろいろと出て来そうな気もするが。勿論単に気にし過ぎ考え過ぎなだけという可能性も無くはないが。

 

佐田杏瓦斯

次に118頁で描かれた佐田家の家系について。リビングに飾ってあった曽祖父杏助の遺影は牛とのツーショットでは無く、杏助の父である牛鬼の杏瓦斯との親子写真であった。名前の元ネタは大正前期にスコットランドから輸入されたアンガス牛[*1]、そしてケルト神話の愛と若さと美しさを司る神オェングス[*2]からだろうか[*3]

 

その経歴

まぁ家系図を辿っていったらまぞくがいたというだけでも問題であるが、シャミ子が見た家系図とコロッケレシピが書かれた「さたんや全記」での杏瓦斯の記述がとても物騒なものである。

・日露戦争で魔族特殊陸戦部隊に所属して出兵
・復員後にその戦果によって多魔市民に
・多魔登戸技術研究所の所属歴
・その後技術者として渡米

どうやら当時の帝国陸軍は魔族を軍事利用していたようである。無論志願制で募っただけかもしれないし、強制的に徴兵して従軍させてたのかもしれないが、どっちにしても戦争に魔族が関わっていたのは事実なようである。
6巻77丁目では日本ではない外国[*4]で幼少の桃がどこかの組織に所属していて戦闘していた事から、この時の魔法少女に戦闘させていた組織も陸軍も考えは同じなのであろう。更に杏瓦斯が渡米したという事、自らの意志か米国から引き抜かれたかは分からないが、どんな形であれ光闇関係の軍事利用や関与は今も昔も、恐らくは現代も変わらない事なのだろう。考え過ぎかもだが桃の戦友ブドーがいまアフリカにいるのも光闇に関わる戦闘が理由なのかもしれない。

そして杏瓦斯が日露戦後に所属していたという多魔登戸技術研究所だが、恐らくは登戸研究所がモデルであろう。米国本土の直接攻撃を目的とした風船爆弾をはじめとした兵器開発の他、偽造紙幣やパスポートなどの諜報活動用の資機材の開発製造を行っていた、言うなれば第二次大戦での日本の暗部に関わっていた陸軍の研究機関である[*5]
日露戦争での戦果がどのようなものかは分からないが、ここに所属していたのもそこでの戦果が関わっているのかもしれない。そして第二次大戦でも魔族を軍事利用していた事になるし、時期は不詳だがその後渡米したのも恐らくは米国が更なる軍事開発を目論んでの事だったのであろう。

 

他の部隊員

そして杏瓦斯と共に魔族部隊に所属していたと書かれているのが、日清日露の両戦争で多くの子分と共に満州に出兵して勝利に関わったという、日本三名狸の一角を担う太三郎狸[*6][*7]。そしてもうひとりが万物の知識に精通すると言われる白澤、言うまでもなく『まちカドまぞく』に於いて白澤といえば喫茶あすらの店長であるが、彼も以前は軍に加担していたという事なのだろうか。桜の斡旋であすらの開店準備をしていて桜にリコの面倒を押し付けられた頃は店長曰くこの町に来て間もない頃[*8]、その後桜がコア状態になってシャミ子の肉体へと埋め込まれたのが10年前、杏瓦斯とは違って多魔での居住歴は未だ浅いようである。恐らくは戦勝へと導く為にその予言と占いの力量を見込まれて魔族部隊に所属していたのだろうが、いまではその力は衰えているものの当時の、最盛期のその力とは如何程のものだったのだろうか…。

 

その他気になる事

渡米後の杏瓦斯がその後どうしているかまでは記述されていないが店長の例があるから、息子の杏助の没後も生存して現在も存命である可能性は十分ありそうである。

「さたんや全記」に於いて佐田家の歴史が200年ある事や杏瓦斯の事を「佐田家 中興の祖」と評していた事から、佐田家そのものの祖先という訳では無いようにもとれるが、家系図では杏瓦斯より以前の家系が記されていないから祖先である可能性も有り得なくは無さそうである。まぁまぞくというものは長命な傾向であるからなんとも言えないし、あくまでさたんやの記録であって創業以前の事までは網羅していないってだけかもしれないが。

 

佐田家と誰何

先述した佐田家での違和感、シャミ子が杏里の夢の中で見たもの、そして「かわいそう」「ちゃんと大事に使う」という発言とそれが出てきた119頁左コマの小見出しが『天敵』である事、これらの状況証拠から誰何が杏里の兄弟を食べたと推測される。そして杏里の夢の中で誰何が出てきたという事は、誰何が兄弟を食べたところを杏里が目撃していた、或いは誰何が何らかの形で杏里の記憶に干渉している可能性がありそうである。

 

ざっくり時系列纏め

十数年前:桜と誰何が桃を保護する(6巻77丁目)

保護から数年後:桜がヨシュアに頼み桃の記憶を改竄(同上)

10年程前:桜の斡旋で店長が多魔に移る(3巻36丁目)

10年前の12月28日:コア状態になった桜がシャミ子の中に入る(同上・同巻38丁目)
これより少し前に恐らくは桜がヨシュアを封印する(2巻25丁目)

9年前~6年前?:誰何の魔族大虐殺?(6巻75・76丁目)

6年前:桃が多魔に戻り誰何と接触及び戦闘(同上 時期は伊藤先生の発言)
戦闘より少し前に誰何が先代グシオンを殺害?
この頃さたんやは未だ現存

 

大雑把に過去の話を読み返しただけだから抜けていたり矛盾があったりしそうだが、大体はこんな流れだろうか。

 

食べられた3兄弟

ざっくりと時系列を纏めたのはちょっと気になる事があったから。
120頁でシャミ子の脱出を手助けするべく話しかけたが、そのときシャミ子を見て「ツノのお兄ちゃん」という発言。恐らくは魔力か何かで同じ特徴を感じてシャミ子をヨシュアと混同した可能性[*9]。そして3体のシルエットにかかっている桜の花らしきエフェクト、言うまでもなく千代田桜が関わっている可能性。つまりは誰何が兄弟を食べた事による直接戦闘若しくは事後処理で桜とヨシュアが絡んでいる、桃にしたのと同様にヨシュアが杏里の記憶も改竄した可能性があるという事。となると、誰何が兄弟を食べたのは10年前かそれ以前という事になりそうである。まぁあくまで推測だから全然時期は違うかもしれないが。

 

事件と杏里

先述の通り誰何が兄弟を食べたところを杏里が見ていた、或いは誰何が杏里の記憶に干渉している可能性がある訳だが、そもそも兄弟を食べて誰何が杏里を食べなかったのは何なのだろうか。単純に考えるなら食べられる前に桜とヨシュアが割り込んで保護したというのが有り得そうだし、そのとき同時に記憶改竄もしていそうである。若しくは誰何が杏里を食べられなかった可能性。佐田家が誰何に狙われたのはまぞくの血が入っていたからだろうが、杏里が強大な力を秘めていたか何かで食べる事ができなかった、或いはその為にあえて生かして記憶に干渉している可能性、だろうか。まぁ現時点で分かっているのは誰何が杏里の兄弟を食べたであろう事でその目的や狙いは分かって無いから、正直推測の域を出ないものであるが。
杏里は桃がそれを認知しているくらいに夜寝るのが早いが、その原因には兄弟が兄弟が関わっていそうである。3巻38丁目で「自身の魔力を溜める影響で毎日ちょっとだけ眠くなる」と桜がシャミ子に言っていたが、同様の事が杏里にも起きているのではないだろうか。妹の杏里を守るべく、当時の記憶を封じるべく、兄弟がそうしている影響によって杏里は夜遅くまで起きていられない。牛鬼の杏瓦斯が祖先にいてまぞく家系とはいえ、描写された限り杏瓦斯以外にまぞくの血は入ってなさそうだから、世代を経てまぞくの血が薄くなって魔力も余り無い、若しくは兄弟3人で守ってる分負担も大きい、或いは杏里がまぞくに覚醒していないからいまは魔力量も少ない。そんなところが杏里の睡眠事情に大きく影響しているのかもしれない。

 

その他

誰何が兄弟を食べたりさたんやが焼失した時期が明示されていないから[*10]、桜とヨシュアも事件に絡んでいるのかというのはハッキリ言って根拠の無い憶測でしかない。自分としては誰何が兄弟を食べたのが10年前程、さたんやが焼失したのは6年前以降と推測はしているが、6巻76丁目での「昨日行ったお店のひとも泣いてた」という誰何の発言が兄弟を食べた事を指すなら、それ以前に桜とヨシュアが絡んでいそうな疑惑は成立しない。ただ桃と誰何の戦闘後から今に至るまで公園の桜が枯れている事から、それより以前に誰何が何かしでかした時に備えて桜とヨシュアが何か仕掛けていた可能性、霊脈を通じて大規模な記憶改竄や加護のようなものを付与した可能性があるかもしれない。無論誰何がやらかして枯らした可能性もあるし、正直単なる誇大妄想なだけかもしれないが。

誰何が魔族を虐殺もとい捕食しているのは世界全ての悲劇不幸を根絶させる糧にする為であるが、その目的が達成されても誰何だけはその悲劇不幸を全て覚えているし、その全てを忘れない覚悟でいる。誰何が兄弟を食べた事に対してもその行為自体が悪いという自覚はあるように受け取れるから、どれだけ非道な事をしてでも、その事を全ての人の記憶に残らなくても、目的の為にその事実を全てひとりで抱え込むという強い覚悟を今回思い知らされたように感じる。

 

闇営業の影響

桃に内密で杏里の夢へ潜りさたんや時代のコロッケレシピを復元する、それが今回杏里の頼みと小倉からの指南を受けたシャミ子の闇営業であったが、その闇営業を行った結果それぞれに少なからず影響を与える結果となった。

 

シャミ子

話が進むごとに様々な事に触れて知っていき、6巻77丁目では「自分と町と桃の笑顔を守るまぞくになる」と決意したシャミ子。未だ未だ成長途上であり、徐々に強さを得ているとも調子に乗りつつあるともいえるここ最近の状況であったが、今回の闇営業で誰何相手にどうにもならなかったという事実は深く突き刺さったに違いない。それも夢魔のテリトリーである夢の中での事だから尚の事であろう。
シャミ子の「これで勝ったと思うなよ!」は最早作品を代表するレベルで御馴染みな台詞であるが、勝負に勝てなかったという事実を受け入れない言い訳であり、自分は負けてなどいないというシャミ子の性格を表した台詞であると自分は思う。6巻71丁目で桃のセカンドハーヴェストフォームの良さを理解しきれなかった事に対して完敗宣言をした事はあるが、ここ最近順調な傾向にあったシャミ子が全く思い通りにならない、なんとかの杖も全然効かない、そして杏里の兄弟に助けられなんとか脱出。ここまで自力では手も足も出ず結果的に兄弟を見捨てる形になった事実は、今回の闇営業でシャミ子が完敗した以外の何物でも無いとハッキリ自覚させるには十分過ぎるものであった。
今後遅かれ早かれ誰何と真正面から対峙する事になるだろうが、結果論として完敗したのが最終局面とかではなくこの闇営業であったのはある意味救いだったのかもしれない。ここで己の弱さと無力さを痛感させられて、それでもいろんなものを守りたいという思いを強くできれば自ずとシャミ子もより強くなっていける。それが小倉が「このミッションが出来たらより一層強くなれるかも」と言っていた事で、こんな目に遭ってもより思いを強くして先へ進めるという小倉なりのシャミ子への期待だったのかもしれない。同時に誰何に完敗させられる事が分かっていたからこんな目を見て欲しくはない、こんな予測は外れた方がいいという相反する想いを抱えていたようである。
いろんなものを守っていくうえで、誰何と真正面から対峙していくうえで、その為により強くなっていくうえで、これから更に先へと進むうえで、この闇営業はシャミ子にとってひとつの正念場となった。結局この光景を目にするという小倉の予測は当たったが、より強くなるという期待も当たる事となるかどうか、この先シャミ子の決意が真に問われていきそうである。

 

小倉

シャミ子への想いや期待は先述した通りであるが、この闇営業で小倉が一番危惧しているのは桃にこの事が露見する事である。ごせんぞは「桃が杏里の記憶に触れる事で後々支障が起り得るからでは」と推測していたが、今回佐田家がまぞくの家系であった事に加え誰何が絡んでいたという点は桃にとって看過できる事では無いであろう。佐田家と桃がそれぞれ誰何と接点があるのであれば、佐田家と桃とも何かしら接点があっても不思議ではない、それが桃にとって悪影響を及ぼすものであれば尚更である。だから先代グシオンの記憶と経験から可能な限り角を立てず四方丸く収めたいと動いているのであろう。ただ当の小倉が精神年齢が良子よりも年下の6~7歳故にその想いが先行しがちでややうまく立ち回れていない印象ではあるが。そういうコミュニケーションとマネジメントの能力が、予測能力を十二分に生かすうえでいまの小倉には足りていないだろうか。そういう点では小倉にとっても正念場となっていくのかもしれない。

 

杏里がまぞく家系で誰何と接点がある、そんな事実を知れば桃がどうなる事か分かったものではない。桃は誰何に利用されて魔族虐殺に加担させられる事となったが、図書館にいるグシオン(?)がまぞくの連絡網を作っていると教えたのは杏里の母、そして当時の屋号はさたんや。その点と点が線で繋がれば少なくとも桃が自責の念に駆られるのは間違いだろうし、仮に連絡網を誰何に渡した後に更なる魔族虐殺によって杏里の兄弟が食べられたのなら、ヨシュアを封印して桜が溜めたカードを消費した以上のダメージが入るであろう。故に小倉はこの事実を桃に露見しないよう動いているが、結局は遅かれ早かれどこかで露見するものだから小倉がいましてる事は単なる問題の先送りであろう。
「隠し事は信用を失うきっかけになってしまうもの」、というのは現在放送中のアニメ『 最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。』で出てきた台詞であるが、小倉がシャミ子を巻き込み事実を隠蔽しようと行動している事が、ごぜんぞが推測する人間関係への支障という危惧を現実のものにしかねない。そんな事が起きても起きなくても万が一の事が起きれば桃はひとりで誰何に対抗しそうであるが、そのとき信用できる人がいるかどうかで全員生存できる確率は大きく変わるであろう。
闇営業に際してシャミ子は首尾よく眩ませたつもりでいたが、実際には結構首尾がなってないガバい工作であった。小倉が危惧する通りこれらの事実が桃の知るところになるのかどうか、そのときシャミ子と小倉はどう弁明するのか。それぞれ個々の強さだけでなく繋がりをより強くしていく為にも、ここでの言動と選択肢は絶対に間違えられないものとなりそうである。

 

ごせんぞが居たからこそ

先述の通り精神年齢が6~7歳故かコミュニケーション能力にもやや難があるように感じる小倉であるが、その分ごせんぞがフォローしていたなという印象である。小倉と合流する前の小倉が桃に隠蔽したいというシャミ子の疑問に対する会話もそうだし、いざ杏里の夢に潜るときになっても危険だと思ってる割にそれ以上の事を話したがらない小倉に対するシャミ子の疑念にすかさず最もらしいフォローを入れたり、誰何に襲われたシャミ子を一気に引き上げて映像処理にすぐ動いたりと、伊達に長い間を生きてきて週2で職質されてるだけの事は無い対応力だったなと感じる[*11]
小倉はごせんぞでなく良子と店長がついてくる可能性も予測していたが、良子は軍師志望なだけある才はあるもののこの事実を受け止めるには未だ幼さそうだし、店長は恐らく魔族部隊で繋がりがあるだろう杏瓦斯との事で何が起きるか分からないし[*12]、そしてどっちが来ていてもシャミ子を夢空間から引き上げられない。そう考えるとついてきたのがごせんぞだったのは本当に運が良かったと感じる。

 

杏里

シャミ子が引き上げられて戻って来た直後の杏里は熟睡中で、少なくともシャミ子が誰何に襲われていた、兄弟がいて誰何に食べられた事など全く知らなそうな表情である。ただ兄弟3人に守られてるとはいえ全く影響が無いかというと、現時点では分からないが少なからず影響が出てもおかしくはない。過去に起きた事実を知るだけならまだしも、それが切っ掛けとなってまぞくとして覚醒したら、それもシャミ子達に敵対するような事になったり制御が出来ない状況になったら。現時点では杏里に何も影響が出て無さそうな以上は完全に推測と妄想でしかないが、そうなる可能性も有り得なくはないであろうし、それによって今後の人間関係に支障が出るような事になれば収拾がつかなくなる。桃に対してもそうであるが杏里に対しても事実を隠蔽し続けるのかどうか、兄弟の守りが弱くなったり破られでもしたらそれまで封じ込めていた反動がどう出るのか。いまは問題がなくてもなかなかに気が抜けない事になるかもしれない。

 

余談

先日更新したキャラット4月号の感想記事で書けなかった気になった事などについて。

118頁でごせんぞが引き返すよう説得する中シャミ子が家系図を読み進めて杏瓦斯から杏里のところまで辿ったところから、続く119頁でミートミンサーを動かす軋む効果音が小さく聞こえるだけの演出は、これまで騒ぎ立てるような動だったものが一気に静へと反転するように感じて、その後ミンチされて出てきた誰何のビジュアルも大きいが、そういう演出がガチホラー回だと強く感じる所以なのかなと思うところである。

そして様々な神話や伝承が元ネタに使われている中で、日露戦争や登戸研究所というものまで使ってきて、まだ話として出していないだけで更にとんでもない爆弾になりかねないネタを伊藤先生は隠し持っているのではないだろうか、とつい思ってしまう。

 

終わりに

…という事で大体こんな感じです。正直文章の構成力がクソ雑魚だし大した考察が出来るような能があるとも思ってないから、ここまで長々と原稿用紙換算で20枚以上書いてきたものの、その文章量に対して中身スッカスカなゴミクソ拙い記事になっているのではと自分自身感じている。ただ一応は記事という形で自分なりに纏める事で、いま『まちカドまぞく』で何が起きていて今後シャミ子達が向き合わなければいけない事が何なのか、自己満足でしかないがそういうところは分かってきたのかなと思う。

佐田家で過去に何が起きたのかが見えてきて、今後はこれまで通り日常を交えつつも今まで以上に気が抜けない展開になっていくかもしれない。いろんな人や存在の尽力と犠牲の上に成立しているいまの多魔の街角の日常であるが、そんな日常をひとりも欠ける事無くシャミ子と桃達は守り抜けるのか。それに向けて様々な課題と懸念が浮上した今回の89丁目であったが、まずはこの正念場をどうにか乗り切って欲しいところである。

 

て事で今回はここまで、次も期待しないでください。

 

※脚注

*1:アバディーン・アンガス - Wikipedia

*2:オィンガス、アンガス・オグ、エーンガスとも

*3:オェングス - Wikipedia

*4:桃が話していた言語からウクライナかその周辺国と思われる

*5:登戸研究所 - Wikipedia

*6:ジブリ作品『平成狸合戦ぽんぽこ』に出てくる太三朗禿狸のモデルとしても有名

*7:太三郎狸 - Wikipedia

*8:3巻36丁目

*9:もしかしたら6巻76丁目で誰何がシャミ子に向けて言ったであろう「ツノのまぞく」と同じなのかもしれない

*10:少なくとも桃が多魔に戻った頃にさたんやは現存

*11:そもそも週2で職質されるような事ってなにしてるんだ?ゴミネキ活動が傍からそう見られてるのか?

*12:店長も記憶に影響を受けている可能性はあるかもしれないが