渓埜胡保の戯言

語彙力のない主観と偏見に満ちた自己満足なブログなので期待しないでください…

【感想】まんがタイムきららフォワード 2023年10月号

 

先月号と先々月号で完結作品が相次ぐと同時に先月号から新連載作品が相次ぐなど、再びフォワードで作品の入替えが続く時期に入っているような気がする。ただ現在の掲載枠を考えるとその流れも次号で終わりそうだろうか。そう簡単に次の中堅候補は出てこないものであるが、引き続き各作品の展開や動向には注視していきたい。

て事で今月もいろいろ語ります、あれからアネモネ結局読めて無いです本当ゴメンナサイ………。

 

 

過去の感想記事↓↓↓↓↓

w811b8y198stx8.hatenablog.com

 

 

 

今月号情報

2023年8月24日発売
価格::750円(税込)

◎巻頭カラー

橘まなりサキュバスイッチ』

◎表紙

一ノ瀬けい『花唄メモワール』※次号休載

◎新連載

おくりごま『ネコかぶりアンコール!』

うちのまいこ『スローループ』
マウンテンプクイチ『球詠』
Magica Quartet・富士フジノ『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』
木蓮アネモネは熱を帯びる』
河瀬季(モノリス法律事務所)・さくたつ。『仮想世界のテミス』
おみなえし『魔法使いロゼの佐渡ライフ』
まめ猫『ももいろモンタージュ
白野アキヒロ『しゅがー・みーつ・がーる!』
betock『色んな女の子とキスをしていたら、百合キスに目覚めてしまいました…。』
ちなみうら『あなたのココロの見えないトコロ』
安道じょうけい『はなまるテレキネシス
長澤壱弥『桜色フォトグラファー』
山田ポメ『僕が勉強したくなった日』

◎休載

津留崎優『SA07』※暫くの間
あらたまい『え? 結婚って3次元でもできるんですか?』
はづき異世界サウナへようこそ!~ルナちゃんはととのいたい~』
くずもちまつり・誰がし薪窯のパンドラ』
師走ほりお『高瀬さんはドル活に夢中です』

今月号は読切作品が4本掲載と普段よりも多い印象である。読切枠が全く枠が無かった7月号みたいな事態もどうなのだろうと思うが多過ぎる、というよりも休載作品が多くなるのもどうなのだろうとは思うところである。

 

連載作品感想

サキュバスイッチ
《橘まなり》

ムウとモカの強襲にはじまり、鎌に完全勝利したメル子の松茸、そしてあんずの妊娠発覚と、とんでもない事態が立て続けに起こった前回だったが、今回は魔界を舞台に諸々の経緯についての説明と釈明という展開に。いくら非常時だったとはいえ結果的に寝込みを襲う形であんずとメル子自身のはじめてを喪失させた事も隠し通すという訳にはいかなくなったし、まさかサキュバスという種としてもとんだ事態になるとは思わなかったメル子であろうが、あんず自身も全然状況を咀嚼できない中でそれでもメル子を受け入れようとする漢らしさをみせたり、はじめてを喪失してでもあんずを助けようとしたメル子の行動など、先月号の記事でも書いたがこんな関係で無ければ真面目な純愛ものになっていたのでは無いだろうかと感じさせる。それが入れ替わったばかりに、出逢ったヒロインがサキュバスだったばかりに、こんなきららの問題児になってしまう事になるとは…。
ひとまずはふたりが入れ替わった事、以前人間と交わって産み落としたというサキュバスの事、これが現時点で優先する解明事項であるが、そもそもふたりの入れ替わりは単なる偶然だったのかそれとも…。まさかどっちかがその子供なんて事は無いだろうか、いまの段階では全く当てずっぽうな妄想でしか無いが。
前回に続き今回も展開自体は結構真面目なものだったけれども、想いを抑えられなくなったあんずにキスされてメル子の松茸が元気になったり[*1]、ムウに松茸狩りの予約を入れられたりと[*2]、ソッチ系の話はいつも通り全くブレてなかったなと感じる。あと鎌でキノコを狩られたら肉体も記憶も変わるってのは[*3]、あんずの言う通り性癖がぐちゃぐちゃになりそうで怖くもありちょっと気にもなる…。

第1巻は9/12発射ッ!

 

花唄メモワール
《一ノ瀬けい》

前回に続き特別編。今回は椿と女将の話であったが、なんかさらっと割と重要な情報を出してくる話を特別編にしてしまって本当にいいのだろうかっていう気がする。一応は梅と藤野の話が本筋でありその筋からは少し外れるという点では特別編というのは分からなくないが。ていうか前にキャラット連載の『紡ぐ乙女と大正の月』でも似たような事を話した気がする…[*4]

今回はとんだ厄介客に絡まれた椿が自身や女将との過去を振り返ったりふたりの関係性を描いた話であったが、椿は生きていたのが現代であればここまでの目には遭ってなかったので無いだろうか、大正という時代の常識と価値観と社会が何もかも悪いというようなものである。現代人の梅が羨む程のプロポーションを持ちながら[*5]時代がそれを許さなかったのは、少なくとも現代の、自分自身の感覚からすれば非常識以外の何物でもない。なんだか椿さんの境遇って『鬼滅の刃』の蜜璃さんとも共通点があるなって気がする、椿さんのような仕打ちは受けてなかったけど容姿や体質が原因で見合いが破断したという点では似ていると思う。
女将は若かりし頃に椿の家に単騎突撃したり、厄介客相手に引くどころか逆に攻めてく姿勢だったり、とんだ女傑だなと感じさせる。それでいて当時の価値観に縛られない感性など、柔と剛を備えた人とは女将みたいな人の事だろうかと思う。梅もその家系の人間なのだから、いずれは女将やイネみたいな凄い女になれる素質はありそうだがどうだろうか。女将が椿さん、恐らくは他の仲居も助けてたように、この先梅も藤野を助ける事はできるだろうか。

そんな前回今回の特別編だったが、前回もだけど今回は結構重要そうな回だと個人的に思うので、どうか単行本にも収録されて欲しいものである…。

第1巻は発売中!
第2巻は9/12発売!

単行本購入キャンペーンも開催!

 

【新連載】ネコかぶりアンコール!
《おくりごま》

校内では周りからヒロインと評される程明るく成績優秀な音子、その実態は外では猫を被っているガサツで口悪な女だった。そんな彼女の猫被りを見抜きその演技力に惚れ込んだ兄の同級生の牧奈によって、音子は兄と共に演劇へと踏み入れる事となる。

まぁざっくり言うと普段の猫被りで溜ったストレスを演劇で発散してしまおうという感じであるが、こんなキャラをつくり続けている手前このキャラを崩す訳にもいかないというのは大分負担が大きいなと感じる。無論音子は承知のうえで猫被りを通しているが、これまで積み上げてきた期待や好印象を守る事に追われているようにも思う。そのうえで承認欲求モンスターだから、結構いろんな事を拗らせながら猫を被ってるのかなって思う。単にキャラを守るとか承認に飢えてるというだけでは無く割と根深そうな問題を抱えてそうな気もするが、全く先行き不透明な演劇部で音子はキャラの維持とストレス発散を出来るのだろうか。とりあえずこんな妹を相手にしてる兄は強く生きて欲しいところである…。

以前おくりごま先生が掲載した読切作品はCOMIC FUZで配信中!

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スローループ
《うちのまいこ》

前回ラストでフラグを建てたひよりは今回思いっきり船酔いにやられる事になった、それ以上にまさかひよりがそういう側のキャラになってしまうとは…。建てたフラグを無事に回収したとはいえここまでの目に遭わす必要はあったのだろうか。
そんな中でいよいよ決行となった沖縄マグロ釣りであるが、周りが釣果をあげる中で明らかに調子は良くないひよりがそれを押して竿を握ったのは、初心者共相手にこのまま終われない或いは単純に釣りあげたいという釣り人としての意地や性なのか、そういうのも含めて小春への対抗心からなのか、どっちにしても重症レベルの船酔いを釣りへの熱意と意欲で跳ね除けたひよりであった。
とりあえず釣る事しか頭にない状況でのひよりと小春の距離感は殆ど無いように感じたが、そのノリで陸でもやっていけないものだろうか。次回以降も姉妹の距離感と釣果がどうなる事か注目である。

第8巻は発売中!

 

仮想世界のテミス
《河瀬季(モノリス法律事務所)・さくたつ。》

今回の案件は発表前の楽曲を盗られたうえ海外マーケットで売られたクリエイターからの犯人特定の依頼。盗られた事に憤りを隠せないのかとても正義と建設的な相談ができるという状況では無かったが、正直に言って噂通りの性悪だから今回の件も元を辿れば身から出た錆なのでは、という気がしなくもない。だからといって楽曲盗難が正当化されるなんて事は無いが。
海外企業を相手に訴訟を起こすというハードルの高さと勝訴の見込みの低さから、地道にネット上から調査を続け手掛かりになりそうな投稿を見つけた初だったが、被害調査ではあるがこうやって本人も忘れているかもしれない過去の投稿を掘り返されるのはどこか怖さを感じる。中にはそれを炎上の燃料にしようとする人もいるから、ネット上でしてきた投稿のどれが炎上の対象にされるのか分かったもんじゃない。ともかく掴みかけた手掛かりから真相に迫れるだろうか。
あと正義が独立した頃の話をしているときの初が余りにも無関心過ぎてて[*6]、せめて紛いなりにも興味があるふりくらいしてもいいんじゃないのかなとは思う。それと何とは言わないけれども初ってデカい!

 

魔法使いロゼの佐渡ライフ
《おみなえし》

実は何気に凄い技術が使われている紗菜の自宅であるが、そういう技術を広めたり佐渡や宿根木の観光促進として、何よりもそれで借金返済に道筋が立つならロゼの提案した見学化は[*7]決して悪くはない話なのではと思う。
ロゼは紗菜とは親子の関係を重ねていた一方で紗菜はロゼとは姉妹関係を重ねていて、ちょっとなんとも言えない解釈違いを起こしてたなって気はする。でもロゼに母親みたいと言われて子持ちの年増みたいに思われてると紗菜が感じたのは[*8]、それはなんか考えが短絡的過ぎやしないだろうか。

第2巻は9/12発売!

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しゅがー・みーつ・がーる!
《白野アキヒロ》

中間試験を控えて赤点の危機となって補習になって食事会の時間を潰されまいとカンナが美都に勉強の享受を乞うた回であったが、今回出てきた店はとても元ネタが分かりやすいというかほぼまんま出してきたなって感じがする。
いつも通り今回美都の掌の上というか羞恥プレイを受けたカンナであったが、本当なかなか美都のペースを崩せないなって思う。完璧超人な美都ではあるがそれを守らなければいけないという家の事情が今後の展開で少なからず関わってくるのではと思う、言い方はアレだがカンナが美都に付け入る隙があるとするなら等身大の悩みを共有するところだろうか。
そんな気になるところもあるが、まずは気持ちよく試験後の美都との休日デートを迎える為にもカンナが補習回避できるかどうかが重要である。

 

色んな女の子とキスをしていたら、百合キスに目覚めてしまいました…。
《betock》

対バンを制して打ち上げを行う楓音一行、ひとまず葵生とトモミの関係がそれなりに丸く収まった一方でエモを眺めているだけで良かった葵生が楓音にエモを感じたり、明らかに普通じゃない重い想いを抱える楓音の幼馴染が出てきたりと、まだ大分楓音周りの人間関係が面倒な事になっていきそうな予感である。あくまで解呪の為にいろんな人と関係を持った楓音であるが、その人達を悉く陥落させてった責任をどう取るつもりなのだろうか。今回ルシフェルは特に動きは無かったが、またいろいろと複雑な事になっていきそうである。

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ゲスト作品感想

あなたのココロの見えないトコロ
《ちなみうら》

一種の読心能力ともいえる心読症を発症して人間の黒い心に触れた事で人と向き合わなくなった霧香、過去にいわれのない扱いをされながらも人と向き合おうとする光、劇中の世界で社会問題にもなっている心読症を抱えるふたりの出会いと変化を描いた作品。

人体改造をされて裏の仕事に関わっていた『機械少女と吸血鬼』や、前世の記憶から人間不信になった『まもってください勇者さま!』と、過去の先生の作品でもキャラが抱える陰の部分が描写されてきたた。特に今回はその要素が強かった印象で、人外だったり前世での出来事という過去作から人間同士の関りというより現実的且つ直球なテーマで陰の部分を描いてきたかなと感じる。
思っている事が全部筒抜けになってしまうのは読まれる方にとっても意図せず読み取ってしまう本人にとっても不便では済まない事だろうけれども、それしか読めず逃げてきた人の黒い心だけではないいろんな心をこれから見つけて向き合っていって欲しいし、霧香と光がこれから互いにいろんなところを探し合ってもっと仲を深めていくのを切に願いたいところである。

 

はなまるテレキネシス
《安道じょうけい》

固定能力を発現した妹は優秀な超能力者になり、浮遊能力を発現した姉は超能力者としても姉としても妹に後れをとる日々、そんな姉が姉らしい事をしようとなんかしょうもない拘りと意地が空回りしまくる話だった。ハッキリに言ってこんな残念な姉ではあるけれど、だからといって読者に下着を晒してしまうの[*9]はあんまり過ぎる羞恥プレイでは無いだろうか、更に追い打ちを掛けるなら自分の感性としては下着を晒してもなんかこれは嬉しくない…。超能力者としてだけでなく人としても優れている妹に対抗しようなどとはもう考えない方がいいのでは無いだろうか、あとひと言余計なのは余りに致命傷だと思う。

 

桜色フォトグラファー
《長澤壱弥》

先月号で『ライフインターン』を掲載した長澤先生が早くも新作を引っ提げて再び登場。
どこか写真と距離を置き気味だったさくらと隣に越してきた紅花が写真と通じて繋がっていく展開だが、さくらにとっては「その出会いはわたしの心を打ち抜いた」という星屑テレパス1巻のキャッチコピーが合いそうな、さくらにとって紅花との出会いはそういうものだったのかなって感じる。それにしても桜と紅花の一瞬を撮ったさくらが完全に紅花ゾッコンというかテンションがハイになってしまってるのは[*10]、流石に心を打ち抜かれ過ぎでは無いだろうか、それだけ彼女にとっては父離れという意味でもインパクトの大きい出会いだったのだろうけれども。そんなさくらがこれからどんなものを撮っていくのか、是非2話目以降にも期待したくなる作品であった。

 

僕が勉強したくなった日
《山田ポメ》

『桜色フォトグラファー』の紅花に続いて不審者同然な登場の仕方をしてくるとは一体どういう縁なのだろうか…。それはそれとして高校生晴人が久々に再会した姉のような存在のあきは魅力的なプロポーションになっていて、思春期真っ只中の晴人にとっては余りにも刺激が強過ぎた。
なんというかDTが抱えている欲望をそのまま形にしたような作品だと感じたが、プロポーションはもとより言動はもう痴女のそれであり、一体会っていない間に何が彼女を乞うさせたのかは少し気にあるところであるが、これでを天然でやってるなら余りにも恐ろしく感じる。こんなのが家庭教師をやるうえにメイドもするだの言うのだから、そりゃ夏休み恒例ヤングテレホンコーナーも黙ってはいない訳である、案の定この作品の直後に無事差し込まれる事となった[*11]

 

次号予告

次号のきららフォワードは、 単行本第14巻が10月12日に発売! 『球詠』(マウンテンプクイチ)が表紙を飾ります! さらに! 巻頭カラーにはこちらも単行本第8巻が10月12日に発売の 『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(原作:Magica Quartet 作画:富士フジノ)が登場! その他、新連載の『オールドヨコハマラジオアワー』(青田めい)や大好評連載アネモネは熱を帯びる』(桜木蓮)をはじめ、話題作品が目白押し!! フォワード11月号は9/22発売予定! まだまだ暑い日が続きそうですが、フォワード読んで乗り切りましょう! 次回もまんがタイムきららフォワードをよろしくお願い致します!

引用:まんがタイムきららWeb

次号表紙の『球詠』は直近1年で3回表紙を取っている。同じアニメ化作品である『スローループ』と未アニメ化作品の『アネモネは熱を帯びる』は共に2回取っているが、それらと並ぶフォワードの看板作品と言っても問題は無いであろう。てか看板作品であるのなら『アネモネは熱を帯びる』のアニメ化にも期待したいところであるが今後の動きはどうなるだろうか。

新連載には青田先生が登場、きららMAXで『ゴスロリJK無人島漂流記』を連載して以来凡そ5年ぶりのきららでの連載作品となる。

 

新刊情報

9/12発売

 

終わりに

まんがタイムきららが独立創刊して20周年になるのにあわせて、作品感想投稿キャンペーン「わたしのイチオシきらら」の募集がはじまった。簡潔にいうなら感想文投稿イベントであるが、この機会に伝えたい好きな作品の魅力を書いてみてはどうだろうかと思う。自分も何かしら投稿しようかなとは思っているが、この連載きらら感想記事の体裁とノリとは違うだろうし、優秀な感想文が各誌において全文掲載される都合上長文に渡り想いを書き綴るのも恐らく推奨はされない。月4度書いている連載感想記事とは違う苦労をしそうであるが、それでも自分の好きを書いてみようと思う。
応募期間は9/30までです、期間に余裕はありますが投稿はお早めに。

 

て事で今回はここまで、次も期待しないでください。

 


※脚注

*1:21~23頁

*2:28頁

*3:11頁

*4:4月号掲載の七緒さん回

*5:51頁

*6:237頁

*7:247頁

*8:252頁

*9:370・371頁

*10:421頁

*11:449頁