渓埜胡保の戯言

語彙力のない主観と偏見に満ちた自己満足なブログなので期待しないでください…

【感想】まんがタイムきらら -2025年2月号-

 

昨年の終盤からそれまでの穏やかさから一転して連載作品の入れ替わりが起きて慌ただしい状況となっているが、そんな中で2025年のきららがどのような作品と誌面で盛り上げていく事となるのか。これから春頃に向けまた何枠か入れ替わりそうな予感ではあるからその動向には引き続き注目していきたいところである。

て事で2025年の連載きらら感想記事も主観と偏見で身勝手に語っていきます。

 

⇩過去の感想記事⇩

w811b8y198stx8.hatenablog.com

 

 

 

 

今月号情報

発売日:2025年1月9日
第23巻第2号 通巻255号
定価:470円(税込)

 

◎表紙・巻頭カラー

篤見唯子「スロウスタート」

三上小又「ゆゆ式」
さのださだ「ばくちぬぎ!」
ルッチーフ 「ほうかごバスケット」

◎新連載・センターカラー

sasa熊「ラブかライクか分からない!」

わらびもちきなこ「しあわせ鳥見んぐ」
海老川ケイ「魔女まじょS-WITCH」※次号休載
むつをむつ・蒼井ゆん「異世界魔王ごっこ ~魔王は姫を倒したくない!~」
異識「あっちこっち」

◎センターカラー

千種みのり「好都合セミフレンド」※2話掲載

おにぎりパクパク「運命のヤマダダダダダダダダダダ」

◎センターカラー

ひのまる「おやすみモラトリアム」

ごま油茶 「きゅーぴっちキューピッド!」
Ayster「Stage by stage!」
北斗すい「ちみどろアイスクリーム」

◎最終回・センターカラー

西畑けい「きもちわるいから君がすき」

若鶏にこみ「かみねぐしまい」
ゆうきそにすけ「おしまいテンプテーション」
陽彩 芽るエる 「にーとぐるーヴ」
牛乳瓶の底「白黒分冥」
みつばつゆ「厨二病のエチュード」

◎休載

大熊らすこ「星屑テレパス」
ひさまくまこ「一畳間まんきつ暮らし!」
かきふらい「けいおん!Shuffle」

◎リレーエッセイ My Private D☆V

北斗すい

 

★読者プレゼント★

A:表紙イラスト図書カード(10名)
B:「スロウスタート」オリジナル絵馬(5名)
C:「きもちわるいから君がすき」アクリル万年カレンダー(3名)
D:「ラブかライクか分からない!」直筆サイン色紙(1名)
E:直筆サイン入りコミックス「きもちわるいから君がすき」第3巻(3名)
F:直筆サイン入りコミックス「妄想アカデミズム」第2巻(3名)

 

 

連載作品感想

スロウスタート [#150]
《篤見唯子》

恐らくこれまで見せた事の無いであろう表情を花名にされるとか「ホント何やってんだよ百地お前は」と思わずにはいられないが[*1]、ともかくいろんな意味で期末試験が終わって迫るクリスマス会に向けて計画を立てていく今回であったが、ホントこんな事に割く時間があるなら試験対策に使えばいいものを、とやっぱり思わずにはいられない。頼むからこれ以上ガバさを晒して花名を呆れされるような事はやめてくれよなたまて、じゃないとそのうちどうなるか分かったんもんじゃ無いぞ。
それにしても清瀬さんなぁ、確かにコンビニのケーキも捨て難くはあるだろうけれども名著と言わしめたカタログを見てしまった後じゃなぁ…。そりゃこんなのを知ってしまったら是が非でも買いたいし食べてみたいものであろうけれども、クリスマスだけでなくこういうイベント事での注文競争や情報戦というのは相当に早い時期からはじまるものだから、本当に良いものを頼もうとするなら常に気が抜けないというものであろう。そんな現実によっぽど堪える清瀬さんだったが、来シーズンはどうかこの争いを制して欲しいものである。

 

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ゆゆ式 [#209]
《三上小又》

冒頭13頁からたとえばの前提がぶっ飛び過ぎてるゆずこだったが、まぁでもゆずこはそういう人だから別に分からんじゃないかなという気はする。一応頭は回る方ではあるんだろうしそうでないとこんなボケとかノリとかできやしないだろうが、そういう意味ではゆずこの才は天から与えられしものと言ってもいい、かもしれない。
今回は最後の最後に伏線を回収する〆となったが、こうやって割と上手いこと〆るゆずこもこういう話を描ける三上先生もなんか凄いなとは感じる。万物に不変は有り得ないのが世の理という考えの自分にとってはこの関係もこの日々もずっとは続くものでは無いと思うとこではあるが、それでもこのノーイベントグッドライフの日々はずっとでは無くとも未だ未だ続いてはいきそうだし、そう容易に何か大きく変化するものでも無いのかなと思うところである。

 

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ばくちぬぎ! [#14]
《さのださだ》

事故的にミクルの奇跡を見られて美天に女装バレして終わった前回。どうにか幻の脅迫と口止めで美天をこっち側に引き込む事はできたものの、それにしてもなんてやべぇ奴なんだ幻は。まぁ下着奪回に向けて美天の不運体質は確かに利用できなくは無いだろうが、それを自分の為に利用しようとする姿勢はなんか恐ろしいなと感じるし、賭博部があんなにも手古摺った生徒会役員共をこうも容易に瞬殺するとか[*2]、賭博部と生徒会との決戦の場に幻がいたら一体どうなっていた事か…。いやそれよりも会長だけでなく副会長と書記までもが女装男子だったとは、なんかもうダメじゃないかな生徒会も黒屋三兄弟も…。
奇跡としてはなるべく穏便に事を済ませたかっただろうにこんな事になって頭痛が痛いというところだろうが、ホントこんなんで脱衣ギャンブルの腕をあげて幻の下着を奪回できる事かどうか。幻に騙された恰好の美天はなんかこの先の人生が思いやられるが、一体この先どう変わってしまう事かどうか。

 

第1巻は2月27日発売!

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ほうかごバスケット [#15]
《ルッチーフ》

練習の方はけいとるりが徐々にこれまでの成果が形として現れている一方で、前回生徒会長から薦められた顧問確保の方はなかなか一筋縄にはいかなさそうである。そんな会長から渡された写真と以前部室で見つけた写真との繋がりを掴みそうな一同であったが、果たしてこれをタネに無事に顧問を確保できるかどうか、いやそもそも会長は一体何を何処まで見越してやがるのか。なんかとんでもない事が起こりそうな予感がするがどうなる事になるかどうか同好会の行く末は。
そんな何か抱えてそうというか訳アリそうな顧問候補であるが、まぁ握った弱みで脅して顧問に就かせるのは昔からの常套手段だからね。

 

第1巻は発売中!

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【新連載】ラブかライクか分からない! [#4]
《sasa熊》

24年10月号から3号連続のゲスト掲載を経て今月号から連載開始。

幼馴染のアヤノの事を好きだと想いながらその感情がラブなのかライクなのかが分からないナナ。そんな隙あらば弄り倒すアヤノがナナに向ける感情もまたラブなのかライクなのか見えてこないが、果たしてふたりの想いと関係はどう揺れ動く事となるかどうか。

そんな連載初回となる今回はナナが自宅を訪れに来たアヤノに自身の黒歴史を掘り返されるという展開であったが、まぁなかなかそういう方向に尖っていた時期もあったようだが、一体どれだけのポエムを量産してたのだろうか。でもそういうある種の逆張り精神はいまにも引き継がれているような気もするが。
にしても本当に昔からアヤノへの好きというナナの想いに変わりは無く、クソデカボイスで想いを伝えたりポエムを綴るくらいだからライク以上ではあるような気がするが[*3]、でもラブの域まで達しているかは未だ微妙そうだろうか。
最後は事故的にアヤノにセクハラをしてしまったナナだったが、そんな被害を受けながらもアヤノは満更でも無さそうというか、自身に向けられるナナの想いを知って悶々としてそうな様子であったが[*4]、アヤノの想いもライク以上というところなのだろうか。ともかくこの感情がラブかライクかを探る日々はなかなかに前途多難な事になりそうである。

 

 

しあわせ鳥見んぐ [#42]
《わらびもちきなこ》

24年8月号掲載の前回第41話ではオンライン鳥見会の最中に岬のアパートに四季があがり込んできたが、今回も引き続き行われた四季も参加しての仙台にいる翼とのオンライン鳥見会で干潟ならでわの鳥を観察したり干潟の生物多様性を知る一方で、いまのような光景が昔からあったものでも無い事もまた知る事となる。

現実だと今年で14年、劇中では時代設定が連載がはじまった2020年頃と仮定すれば10年経ってないであろうあの日襲った出来事[*5]、主な舞台である日本海側の山形も少なからず一連の影響は受けた事だろうが仙台宮城をはじめとした太平洋側がどうなったかは…、わざわざここに書くまででも無いであろう。
そんな全てが呑み込まれて見るも無残では済まないような光景になったあの日の出来事から逞しいまでの自然の力で再び元の景色に戻ろうとしく一方で、再びあの日のような事を起こさない為には少なからずその自然を今度は人の手で破壊しなければいけない、それに代えてでも人命を守るというのが人類の社会と文明にとっての正義であろう。故にあの日以前の光景へと戻すのは叶わない事であるが、人類にとって必要なものと自然生物にとって必要なもの、それぞれが譲歩して折り合ってできたのが自然の中に巨大な提が築かれたいまの光景で、双方にとって決して欠かす事のできないものであり居場所である。
そうやって人と生物が、人工物と自然が折り合えたのなら、人と人とでも折り合いをつけて譲歩し合ってそれぞれの居場所を守る事もまた可能であろう。実際そうやって折り合いと譲歩を重ねる中で線引きをつくりながら居場所とか人間関係をつくっていくものだろうし、奔出するのも時には重要だろうがそれだけでは守るものも守れないであろう。そんな干潟の環境とここまでの過程に触れて親と向き合う決意をした四季だったが、今回の鳥見会を通じてひと回り大きくなったのかなと感じる。

そんなあの日の出来事に踏み込んだ今回の話であったが、こうやって描かれると未だ未だ再生の途上にあるのかなと感じるけれども、それでも当時自分もリアルタイムで画面越しに目の当たりにしたあの日の光景からは少しずつでも確かに再生はしてるのかなとも感じる。
にしてもゴカイの画像を見た後によくラーメンなんか食おうと思えるよなすずって[*6]、あと岬にとっての守りたいものはPCのキーボードなのかななんて感じる[*7]

 

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魔女まじょS-WITCH [番外編]
《海老川ケイ》

ネーミング的に同族嫌悪というか共食い感がしてしまうから干し芋はあんまお気に召さないのだろうかほしいもは…[*8]、いやまなの観察眼が節穴って可能性も無くは無いだろうが。そんな第6話[*9]ですっかり懐かれたほしいもとの共同生活にはやや戸惑い気味な感じもするまなであるが、小夜が言っていたようにほしいもなりに恩は返しているようであるから、粗雑気味に起こされるのはちょっと大目に見て欲しいなと思うところである。とはいえそんな事などまなが知る由は無いが。

 

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異世界魔王ごっこ ~魔王は姫を倒したくない!~ [#14]
《むつをむつ・蒼井ゆん》

行動制限解除以前の対策に回帰しなければならない程に流行り病が猛威を振るう昨今の時世であるが、どうやら世界を越えて悪魔軍の中でもその猛威を振るっていたようである。そんな乃々をはじめ幹部が軒並みへばる中でひとり無事で行動可能なリュグは面倒を見つつもいつもと変わらず弄り倒して遊んでいたが、不意に放たれた乃々からの一撃は誰かに甘やかされる事を知らなったリュグにはとても強烈なものだったようである[*10]
まぁ大分弱っていそうではあったから普段の乃々じゃこんな事はしないだろうけれども、とはいえこうやって自覚無しに配下の悪魔共を誑し込んでしまう辺り一応はちゃんと魔王ロールプレイは出来ているのかなと感じる。でも肝心のシエルは全然振り向かせられないから本人としては納得いかないところだろうが。にしても今回の乃々とリュグのように普段攻めている側の方が受けに回って篭絡される展開ってなんか良くないですか?

 

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あっちこっち 
《異識》

ただでさえ空気が乾燥しやすいうえに寒さ故に帯電しやすい服装になりがちで、そんな条件がいろいろと重なり冬場の静電気に悩まされる人は多い事だろうと思うが、にしても全然“静”とは言え無さそうな真宵の帯電体質はなかなかに深刻そうである。とはいえ現代の社会文明と道徳観で厚着と靴を捨てるなんて事は出来ないと言っていいだろうし、多少軽減は出来たとしてもどう足掻いても真宵が放電を起こすのは避けられなさそうである。いやでも謎に技術力が超次元レベルな真宵だから上手いこと帯電しにくい装置をつくってしまった方が早いような気もするが、どうにかできないものだろうか。

 

第10巻は3月27日発売!

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好都合セミフレンド [#24・25]
《千種みのり》

第24話では前回すうなの寝込みを襲ってしまったルカが終始悶々とし続け、第25話ではルカがまたも無自覚なすうなに攻められる様子が描かれたが、まぁなんというか何もかも全てがルカの自業自得でしかないという感じである。
ルカが寝込む羽目になったのは襲った直後で気が動転していたとはいえルカ自身の不注意によるものだし、そんな事になったからすうなのスキンシップ過剰な介抱を受ける事になったし、いまとなってはそもそも論でしかないがすうなにセ〇レの本当の意味を言わなかったからセミフレンドなどという中途半端な関係になってしまった訳で。他にも金琥姉をはじめいろんな女に手を出していたりその姉の所為で琥珀もなんかアレな事になったりと、要はルカが全ての問題の元凶であり諸悪の根源である。なんかもうそうとしか思えない。まぁルカがこんなにも哀しきモンスターと化してしまったのは石灰燐などという女の所為ではあるけれども。
そんなルカがすうなからこんなにも攻められているのはこれまで犯した罪の報いなのではと勝手に思ったりしているが、一体特別になりそうでならないこの関係はどうなる事か。いくらルカが網を張っていてもそれをすり抜けていつかはすうながセ〇レの本当の意味を知る時が来るだろうし、本当にどうこの責任を取るつもりなんだろうかルカは。

 

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ちみどろアイスクリーム [#21]
《北斗すい》

冬休みに入り何処か旅行に行きたいという絵麻の要望を受けて長月家の別荘に泊まる事になった一同。それにしてもこんなにも大きく特定の方向に設備が充実してる温泉付き別荘を有していたり、そもそも人間の母とそうではない父がどんな経緯で出逢ったかなど、長月家の謎は回を追う毎に増しているような気がする。まぁあくまで普通からは逸れている偲音が普通に過ごしていけるかが話の本筋であり長月家の謎はそこからは逸れるものだけども、そうは言っても気になってしまうところである。
そんなこんなでいつもの如く日向が割と酷い目に遭いながらも夜が更ける中、果たしてラスト140頁のオチの後日向は無事に偲音を払い除けてスッキリする事ができたのか、それともこのまま決壊したのか、真相は日向のみぞ知るというところだろうか。それはそれとして寧々はホント自重しろ定期。

 

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【最終回】きもちわるいから君がすき [#32]
《西畑けい》

前回両想いだったという事が分かりようやく司との関係が進んだものの、同時に拍子抜けしてしまうような司の本性を知って何処か違和感を覚える依子。そんな中で他のきもちわるい女共の助言も受けながら依子は自身が抱くすきと司が抱くすきに向き合う決意をする。冬に親友のスプーンを舐めたところからはじまった、きもちわるい女共が跋扈するターン制変態百合バトルだが、遂に迎えた依子と司の最終決戦の行方は…。

 

長くなったんで折り畳みます
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依子が司に特別な感情を抱いたのは自分に対してちゃんと向き合ってくれた真面目なところに惹かれたから、飢えていた母性を叱咤という形で満たしてくれて自分を必要としてくれるからであり、こんなきもちわるい人だから司を好きになったという訳では無いしそんな事など思いもしなかった。そんな司は依子の放っておけない危うさに惹かれて好きになったが、思い返せば第1話早々に依子の人生を破壊させて扶養に入れようと思ったり、依子の寝込みを襲ってキス未遂を犯したり、更には芦屋に目撃されたスプーン舐めと、依子も依子だが司も司で最初からきもちわるい女だった、キス未遂もスプーン舐めも司はしたくてたまらなかった。だから自分と同じように依子もきもちわるいと知って司を思い留まらせていた枷はぶち破られて、健全的な意味で依子を“好き”だった司きもちわるい意味で依子を“すき”になった
一方で自身のきもちわるさを知った事で依子に向ける健全な“好き”がきもちわるい“すき”へと変質したのではと思っていた依子だったが、その真相は上述の通りである。これまでの依子は“すき”な司へのきもちわるい行動の数々を隠し続けて司にまつわるものを蒐集する事でこの関係を不変のものにしつつ表向き司を“好き”でいようと努めていた。だがそんな司の本性は依子が思っていたようなものではなく自身と同じ形の“すき”を向けるきもちわるい女だった。
2巻ラストでは互いに“すき”を隠して表面上で“好き”という形でその想いを確認したが、今回はそこから更に踏み込んで外面だけではない相手の本性を知ったうえで改めて“すき”になったふたり。自分自身が抱き相手に向けていた普通じゃないこの想いだったがそれは相手も同じであって、それを知ってやっと本当の意味で両想い相思相愛になれた。この想いがどれだけ大きく普通からズレていてたとしても同類で同罪な依子と司はより大きく関係を進めて深めた。自分自身が向ける想いも相手に向けられる想いもどこまでもきもちわるいものであるが、だからこそ

 

きもちわるいから
君がすき

なのである。

 

…とここまで長々と書き綴ってしまったが、要は依子も司も互いのきもちわるさを知って真の意味で両想い相思相愛になれたというのがこの最終決戦の顛末というところだろうか。
依子はいつか溶ける雪だるまを冷蔵庫で保存する事で司とのひと時の関係を不変にしようとしていたが、だが結果は雪だるまが溶けるなら何度でもつくって幾度変化しようとも依子との関係を続けようとする司も信念が勝ったというところだろうか。自分はこの作品を冬から春へと向かっていく、降り積もった雪が溶けると共に変化する想いや関係を描いた作品だと思っているが、そういう意味では依子と司の健全な“好き”からきもちわるい“すき”へと変化していくまでを描いた話だったのかなと感じる。2巻範囲でもそこそこに話として纏まっていた感じもしたが、あれが表ルートのエンドだとすればこの最終回は全てのルートを攻略した事で解禁された真エンドというところだろうか。

という事で単行本で更に先に踏み込んで描き下ろされる可能性も無くは無いだろうが、ひとまずは無事に決着した依子と司の関係。依子がこうやってここまで辿り着いたのだから同じラブ同盟として霧乃も透との想いを成就させてほしいと願うところであるが、“好き”でも“すき”でも果たして今度こそしっかりと想いを伝えらえるだろうか。
いやそれよりも何で味方面してラブ同盟に入ってるんだよ芦屋お前は!まぁ類は友を呼ぶというか、きもちわるいもの同士惹かれるというところだろうか。ラブレター事件とその屋上決戦後の依子と霧乃もそんな感じだったし。ともかく今後はしっかり現実と向き合って勝ち組を掴み取って欲しいなとは思うところである。
にしても結局透は最後までひとりだけ何も知らないまま終わったな、まぁそれが透らしいっちゃらしいけれども。

 

完結の第3巻は1月27日発売!

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かみねぐしまい [#22]
《若鶏にこみ》

多分まえなは冗談気味に言っただけだろうが[*11]それを真に受けて海外にいる田端の元へと飛んで行った神は、またも人間が抱える願いと想いの複雑さを知る事となる。
なんか今回もあんま神らしい事はできなかった感じではあるものの、でも田端にとっては社長の傍に寄り添う事が一番大切であって、ツギノとまえなを日本に残して仕事先の海外でもひとり寂しくならないで欲しいというのが田端の願いであった。そんな事はいくら神とはいえ易々と他人が深入りしていいような事では無いだろうし、ずっと社長の事を傍で見続けていた田端自身にしか成し得ない願いというものであろう。故に神の出る幕では無かったものの、飲み歩きをすると言っておきながら実際には部屋でひとり寂しく酒に溺れているという社長の事実は田端の願いに反するものであり、休日に社長を自由にさせてしまった責任感も少なからずあって、それがより自身の願いを強くする事に繋がったのだと感じる。
本当にツギノもまえなもほこも社長も田端も抱える願いと想いは人それぞれでどこまでも一筋縄にはいかない複雑怪奇なものであるが、そんなクソ面倒な生物だからこそ人間というのは面白くもあり理解のし甲斐もあるのかななんて思うところである。そうやって人間のいろんな面を知っていくという意味では好きじゃないジャンルの映画も臆せず見て欲しいなと思うところではあるが。
にしても流石に死者蘇生なんて大それたことは流石に出来なかったか、いや言い方からしてやろうと思えば出来ない事は無いが母に行使できないように制限を掛けられているというのが正しいだろうか[*12]。まぁそんな事をしてしまったら田端の願いをダイレクトブレイクする事になるだろうし、表面上は願いが叶ってもその後社長がどうなるか分かったもんじゃ無いだろう。

 

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ゲスト作品感想

運命のヤマダダダダダダダダダダ 
《おにぎりパクパク》

前後左右どこを見ても山田しかいなく一体どの山田が登校していてどの山田が遅刻欠席しているのか、山田という名の運命の人候補は余りにも多いうえに山田も山田に好意を抱き狙っていて、本当に一体誰がどの山田だというのか、山田のゲシュタルト崩壊もいいところ過ぎじゃないだろうかこれは。
とりあえずは一番最初に声を掛けてきた“わかな”の山田を運命の人だと睨んだ千鶴だったが、当の本人が好きなタイプは全然方向性が違うもいいとことで[*13]、恐らくは千鶴とわかなで運命の人とはどんなものかという認識も違っていそうで、やはり運命の山田探しは前途多難な事になりそうである。まぁどうしても見つからないってならどこぞのラブコメみたく36人の山田全員と付き合ってしまえば万事解決じゃ、なんて浅はかに考えてみたりしてるがどうだろうか。
まぁそれはともかくやはり先ずは全ての山田の事を知っていくとこからはじめて、運命の人探しはそれからでも遅くは無いのではないだろうか。にしても36人の山田共は他の山田を一体どのように認識区別してるのだろうか。

 

おやすみモラトリアム 
《ひのまる》

大学に足が向かず引き籠って描いているコンテスト応募用の絵も仕上がらない現状に漠然と不安に駆られる千影。そんな彼女と同居する後輩の陽織に懐柔されるように甘やかされてどうにかやっていけてるものの、いくらなんでも陽織の紐になり続けるなんて事は流石に出来ないと思う千影であり、大学を卒業(ないし中退)すればよりこういう生活は難しくなるだろう。そしてそれは陽織にとっても同様であり、いつかは千影を紐にして甘やかす生活は終わり、千影の悪夢をこっそりいただく陽織の獏としての生活もまたずっと続くものでは無い。
結局は期限付きであり一時的なものに過ぎないふたりの関係であるが、とても脆くも感じるこの生活が終わったら果たしてふたりは無事に生きていける事になるのかどうか、その時が来るまでどうふたりは甘やかして甘やかされて現実から逃げていくのか。嘗てだらけて過ごしていた事がある人、若しくは現在進行形でだらけて過ごす人と、こういう経験のある人は少なからずいるかもだろうが、どこか生きるのが下手なふたりが最後にどんな道を進む事になるのか。そんな今と先への不安は尽きないだろうが、現実逃避できるのもきっと学生のうちだろうから、現実に立ち向かうにしろ逃げるにしろいろんな事を経験して損は無いのかなと自分は思うところである。

 

きゅーぴっちキューピッド! 
《ごま油茶》

不意に描いた落書きから召喚されたのは新米初陣キューピッド悪魔という属性と不安様相がてんこ盛りなるり子。そんな彼女を召喚したみかんの恋路を支えようとするもののまぁ案の定やってる事への不安は尽きず、でも何だかんだで巡り巡って想い人のいちごと相思相愛になれたから結果ヨシ!なのだろうが、一体ふたりはその後どこまでイったのだろうか…。一応恋路を成就させる事はできたものの、こんなにも抜けててズレてて初心じゃるり子のこの先が思いやられる。まぁでもみかんといちごの関係が一気に進んだから後はふたり勝手にお熱くやっとれとも思わなくないが、でもきっとそんな簡単に事が進むというものでも無いだろうし、どうなるにせよそれぞれ未だ未だ前途多難な日々は続きそうである。

 

Stage by stage! 
《Ayster》

会社社長である父の命で大学卒業までに譲り受けた物件を商業的に価値あるものにしなければいけない林だが、3年になって当初の計画が頓挫して次の手も浮かばず先が見えない状況に。そんな中で香港から留学してきたホイのバンド演奏に惹かれた林は日本でライブハウスを開きたいというホイの夢に乗っかる決意をするが、果たしてふたりの目指すものへと近付ける事となるかどうか。
なんというかガール・ミーツ・ガール、運命の出逢いという感じの導入であったが、身勝手な我儘なのは承知のうえだが演奏の場面[*14]で読んでてもっとコレというくらいに惹き付けられるものがあればなと思うところだが、まぁそれは高望みが過ぎやしないかって事は分かっている。ともかくもう後がないという感じの林と自由そうに見えるホイの目指すものがどう重なり合って転がっていく事になるのかに注目したい。

 

おしまいテンプテーション 
《ゆうきそにすけ》

父の再婚でできたふたりの義姉からセクハラ紛いのスキンシップを受けるユウ。ボーイッシュな見た目から弟だとふたりに思われているユウをあの手この手で興奮させようとする義姉共だが、そもそも大きくそびえ立つものが無いからそんな事をしても全く意味が無い。そんなセクハラを日々受けていくら男では無くてもユウの性癖がそのうち拗れていきそうな気がするが、果たしてこんなドヘンタイ痴女な義姉共を相手に家族として強く生きていけるかどうか。
まぁなんというか個人的な感覚として、そんな安いもので興奮すると思っているなら男を舐めて見過ぎじゃないだろうかこの義妹共は[*15]。いや勿論それで興奮する殿方もいるだろうが、自分はこういうのをされるとむしろ萎えそうな気がする。恐らく根本はユウとの距離を縮めて家族になろうとしているのだろうが、だとしても努力の方向性が大いにズレ過ぎてる気がしてならない。主にセクハラをしてくるのは長女のアスカであるが、二女のミクリもなかなかにムッツリそうだから次回以降に期待したいものである。

 

にーとぐるーヴ 
《陽彩 芽るエる 》

地元鹿児島を飛び出して熊本へと降り立ったユヅキとミア。そこで釣られるがまま欲のままに熊本の食を楽しんだり、飛び入りで入った野外ライブで眩しいくらいに輝いていた高校時代の感覚に戻ったりと、それなりに充実していたふたりであったものの既に手元の金銭は心許無く、早くもなかなかに先が思いやられる縦断旅となっていきそうである。いや九州脱出も未だだというのにこれはなかなかにヤバくないだろうか、いくら何にも束縛されず自由に生きるが信念だとしてもこんな無計画じゃ碌に生きていけるかも怪しそうである。
それにしてもそこまで興味が無いとしても熊本城の知識が滅茶苦茶にガバ過ぎじゃないだろうかふたりは。あと天守閣は戦後に再建されたもんだからそれ自体には何百年も歴史はねぇぞ[*16]、まぁ櫓や城門など築城当時から現存する建築物も敷地内にはあるけれども。

 

白黒分冥 
《牛乳瓶の底》

『ゆるキャン△』や『mono』のあfろ先生が以前きららミラクで連載していた『シロクマと不明局』は第1話の開始2頁目でヒロインが亡き者にされていたが、今作では1頁目早々にヒロインが亡き者にされる憂き目に遭う羽目になった。
という事で人一倍の前向きさと元気さが取柄だったユウキが流れ着いた地獄で彼女の裁判を担当したクロの自宅に紆余曲折あり同居する事に。まぁ全ては現世日本と大差無いお役所仕事が全て悪いし、肝心な説明と手続きをすっぽかしやがる担当相談員は懲戒を喰らってもいいんじゃないだろうか。とはいえいくら前向き元気が取柄とはいえ憂き目に遭った直後なうえ右も左も分からない場所で独り身の生活は堪えるだろうし、そういう意味では逢って即惚れた[*17]クロとひとまず同居する事になったのはユウキにとっても安心できる要素になったのかなと感じる。
そんな訳で未だ来たばかりで分からない事と慣れない事が多い新天地で持ち前の前向き元気でユウキはどう生きていく事となるだろうか、いやもう既に生きては無いのだが。あとユウキってなんか性格が図々しくないだろうか、じゃなきゃクロに同居を迫れなかっただろうけれども。

 

厨二病のエチュード 
《みつばつゆ》

円華に連れられて演劇部の部室を訪れる七瀬だったが、まぁ七瀬同様に先輩もなかなかにキャラが濃そうだなという印象である。という事で部長のハルキと副部長のちせから洗礼を受けながらも七瀬は部員と共にエチュードに挑む事に。
授業での音読もままならなず前回の台本演技も全然だった七瀬であるが、エチュードでは別人の如く演じる役に入り込んでいて、それはこれまでひとりで妄想を膨らませてきた産物であり、そんな七瀬に真剣に向き合い合わせてくれる部長がいてこそであり、七瀬にとってはようやく抱え続けてきた妄想を語り合える同志に巡り会えたというものであろう。一方で読み込みと練習を重ねる事で七瀬を惹き付ける台本演技をした円華が即興劇のエチュードがてんで駄目だったの意外な気もするが[*18]、これまでの人生の中でどれだけ想像妄想をしてきたかどうかの差であって、そういう点では七瀬に素質があったというところだろうか。
ともかくようやく人の輪の中に入った七瀬であるが、その素質を見込んで部長が用意した舞台は恐らく七瀬にとっての正念場となる事であろう。果たしてそこで七瀬は真に何かを得る事が出来るだろうか。

 

 

次号予告

次号は、コミックス第5巻2/27発売の「星屑テレパス」(大熊らすこ)が表紙&巻頭カラーを飾ります♪ センターカラーは新連載2本立て「海のみちるごはん」(花宮みぃ)&「ウチから何キロメートル?」(蚕二号)「一畳間まんきつ暮らし!」(ひさまくまこ)、コミックス第1巻2/27発売の「ばくちぬぎ!」(さのださだ)です! 来月の「まんがタイムきらら」もお楽しみに!

 

引用:まんがタイムきららWeb

次号は『星屑テレパス』が24年8月号以来に表紙で登場。昨年は意外や意外過ぎたドラマの制作放送があり、“老師”としてYouTubeで活動する大熊先生の同時視聴配信も斜め上な事が起こる盛り上がりをみせたが、果たして今年はどんな事が起こるだろうか。
そんな『星屑テレパス』であるが、23年秋に放送されたアニメの見放題配信がFOD以外のサービスでも開始されたので、実は未だ見た事が無い人ももう一度見返したい人も興味と時間があれば是非御覧下さい。

そして新連載には24年11月号から3号連続で掲載された『海のみちるごはん』の他、24年9月号から3号連続で掲載された蚕先生の『ウチから何キロメートル?』も登場する。昨年末から連載作品の入れ替わりの波が続き、4月号からは『ふたへん!!』の連載もはじまるが、果たして年の瀬にはどのような作品が誌面を飾っている事となるだろうか。

 

3月号は2月7日発売!

 

 

新刊情報

発売中

 

1月27日発売

 

 

終わりに

先月号からは1作減だったものの今月号もゲスト読切の掲載割合は高い印象であった。この傾向は2024年号を通して続いている状況ではあるが、このままの割合で推移していくのか、それとも連載作品を増やして割合を減らしていくのか、そこも注目点のひとつとなりそうである。

 

 

 

て事で今回はここまで、次も期待しないでください。

 


※脚注

*1:6頁

*2:24頁

*3:43・45頁

*4:46頁

*5:そこから逆算すると当時の四季は4・5歳くらいだろうか

*6:51・54頁

*7:48頁

*8:58頁

*9:24年12月号掲載

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*11:153頁

*12:156・157頁

*13:104頁

*14:130・131頁

*15:159・163・167頁

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*17:180頁

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